大学時代に競馬デビュー! NHK時代には実況も担当
私が競馬と出会ったのは、1966年、私が大学生のときでした。ある日、スポーツ新聞の一面トップに掲載されていた「ダービー20億円へ」という見出しが目に止まりました。日本ダービーの売上金が20億円に達したという記事です。もっとも、当時はまだまだ競馬が市民権を得ておらず、電車内で競馬新聞を広げていると、周りから怪訝(けげん)な顔をされるような時代でした。
「それほど人びとを魅了する競馬とは、いったいどんなものなのだろうか。これは社会学的な見地からも、一度自分の目で見ておかなくてはいけないぞ」
私はそう考えて、千葉県にある中山競馬場に生まれて初めて足を運んだのです。そして、競走馬を間近に見て、その美しさに私はいっぺんで魅了されてしまったのです。
NHKに入社してからは鹿児島や福岡の支局勤務となり、競馬との縁も薄くなるかと思ったのですが、その間も競馬の情報は熱心に収集していました。そして1975年、当時赴任していた大阪支局で、上司から「競馬実況をやれ」というお達しがきたのです。忘れもしない、京都競馬場で行われる菊花賞でした。
歴史と数学が大切な競馬は、「認知症」予防にうってつけ
競馬は欧米で「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれていますが、馬券を楽しむといったこと以外に、競馬を通じて心身の健康にとっても大きなメリットがあると思っています。私はこれを「競馬健康法」と名付けています。
競馬はとりわけ、「認知症」を予防するにはうってつけではないでしょうか。「ブラッドスポーツ」とも呼ばれるように、狙いを定めた馬の血統に加えて、その親兄弟がどれぐらい活躍したかを記憶にとどめておく必要があります。活躍した名馬が引退してから4年も経てば、今度はその子どもたちが続々とデビューを始める。こうして脈々と繰り返される「血統の歴史」を覚え続けてこそ、競馬の醍醐味の1つが味わえます。
さらに、欲得(金勘定)はやはり欠かせません。それを満たすためには競馬新聞とにらめっこをしながら、「前回の条件では…」「この相手とタイムを比べたら…」などと、過去のレースを思い出しながら予想することが不可欠。そうしてたどり着いた結論から、こっちの買い目が来れば1万円になる、もうひとつの目なら5000円にしかならない…なとど、次に計算が始まる。暗算が得意なのも競馬好きの特徴です。
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- 競馬場は、絶好のウォーキングコース