「こんな数字は見たことがない!」
同じ調査を瀬戸内海西部に浮かぶ大分県の姫島でも行いました。こちらも健康長寿の人が多いことで知られている、人口5000人ほどの島ですが、地元名物の「納豆味噌」をはじめとして、やはり発酵食品をふんだんに食べられていることがわかったのです。加えて、この島ではヒジキやサツマイモを使った麺など、食物繊維が豊富な野菜や海藻をたくさん取っていることが明らかになりました。食物繊維には、便秘を防いで腸内環境を整える働きがあり、悪玉菌を排出する効果があることが知られています。
海藻には「フコイダン」というネバネバ成分が多く含まれ、これが善玉菌を増やす大切な役割を果たしているとされています。特にガゴメ昆布という種類に豊富に含まれているそうです。発酵食品に含まれる善玉菌は、通常、そのほとんどが胃酸で死滅してしまうそうです。ですが、ネバネバ成分は、胃酸の影響をあまり受けないとされ、善玉菌を絡めながら腸まで届ける役割を高めてくれるそうです。
奄美大島での調査結果と同様に、姫島の高齢者にも善玉菌がたくさんあることが分かったのです。ある80代の方の腸内細菌を調べたら、善玉菌の「ビフィズス菌」が、なんと20~40代の一般成人の10倍に当たる1000億個も含まれていたのです! 辨野先生も、「こんな数字は見たことがない!」と驚いていたほどです。
不調知らずの要因は「発酵食好き」のお陰!?
このように、発酵食品は人類の偉大な発明だと私は思っています。元々は魚や野菜などを長期保存するために誕生したと考えられていますが、長年の時を隔てた現代でも、私たちの健康にとても役立つ食べ物になっているのです。
じつは、私は昔から発酵食品を積極的に取るように心がけてきました。
小さい頃から食べ続けてきた納豆のほかにも、カブの千枚漬けや白菜漬けなどの漬け物をはじめ、キュウリに味噌をつけた、いわゆるモロキュウも好物の一つです。
ご存じのように、味噌もまた日本が誇る発酵食品です。また、優れた発酵食品として知られている「キムチ」も、辛みを抑えた大根のカクテキはよく食べています。そのほかにも、ヨーグルトも適量取るようにしています。最近は話題の濃厚なギリシャヨーグルトに、ハチミツを垂らして食べるのがお気に入りです。
