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大西睦子
4-MEIの発がん性…マウスでは増加?
今のところ、ヒトにおける発がん性を示すデータはありません。
ただしマウス(いわゆるハツカネズミ)による2年間の発がん性試験の結果は出されています。
この試験では、オス50匹とメス50匹に、4-MEI(純度は99%以上)を0ppm、312ppm、625ppm、1250ppm(Parts Per Million/100万分率の濃度)のいずれかを含む餌を、それぞれグループに分けて106週間与えました。その間、雄雌マウスが摂取した餌の量は、比較対照群すべて、ほぼ同じでした。
この結果、濃度を問わず4-MEIを投与(摂取)したメスのすべてのグループと、4-MEIを1250ppm投与(摂取)したオスのグループは、肺胞および細気管支腺腫の発生率が著しく増加しました。また、1250ppmを投与したオスのグループと、625ppmおよび1250ppmを投与したメスのグループは、肺胞や細気管支腺への腫瘍あるいはがんの発生も増加しました。
ただし、メスの肺胞/細気管支がんの発生率は、統計学的には意味のあるものとは言えませんでした。
マウスより体の大きなラットだと?
マウスだけでなく、雌雄各50匹のラット(マウスより一回り大きいネズミ)を使った2年間の発がん性試験も行われています。
マウス同様、4-MEI(純度99%以上)を含む餌を106週間与える試験でしたが、マウスとの体格差を加味してオスの餌の4-MEI含有量は0ppm、625ppm、1250ppm、2500ppmの4群とし、メスの餌の場合は0ppm、1250ppm、2500ppm、5000ppmの4群としました。
ラットの場合、メスの5000ppm投与群は、摂餌量自体はほかのグループに比べて比べて少なめでしたが、特定の白血病の発生率がほかのグループに比べて高くなりました。その白血病は、この試験で使用された種のラットでは一般的な疾患ですが、4-MEIにさらしたことで悪化した可能性があります。メスの5000ppm投与群は、この白血病の発症までの平均が256日で、ほかのグループのメスが平均624日だったのに対し、368日も早かったのです。
以上のことが、動物実験としてではあるものの、4-MEIの発がん性についての十分な証拠と見なされています。よって現在、人間に対する発がん性の報告がなくても、IARCは4-MEIを「人間にとって発がんの恐れがある物質」に分類しています。
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