コーラ、黒ビール、ソースにも? カラメル色素の発がん性とは
米国では使用量の制限やがん警告の表示義務付け
大西睦子
食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
清涼飲料水、乳飲料、菓子、しょう油、漬物、つくだ煮などに使用される代表的な食品添加物の1つ、カラメル色素。古くから使われてきたものですが、近年、その発がん性についての議論が活発になってきています。最新の報告をもとに見ていきましょう。
がんの原因になるって本当? コーラなどのカラメル色素

「コーラは糖分を摂りすぎるから注意」という話はよく耳にすると思いますが、コーラなどに使われている「カラメル色素」が、がんの原因になるという噂を聞いたことはありませんか?
2015年2月18日、米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生学のキーヴ・ナックマン教授らのチームが、カラメル色素とがんのリスクに関する報告を、科学雑誌「PLOS ONE」で発表しました。
PLOS (Public Library of Science)「Caramel Color in Soft Drinks and Exposure to 4-Methylimidazole: A Quantitative Risk Assessment」
発がん性は確かなのか、ナックマン教授らの報告を解説する前に、まずはカラメル色素について説明したいと思います。世界保健機関の外部組織である国際がん研究機関(INTERNATIONAL AGENCY FOR RESEARCH ON CANCER:IARC)の資料を参考に見ていきましょう。
IARC「4-METHYLIMIDAZOLE」
