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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

長生きのための運動って、どれくらいすればいい?

激し過ぎるジョギングを行うと死亡率が上がる!?

 大西睦子

週150分の身体活動、米国では成人の約3分の1、東アジアでは成人は約5分の1

 運動と病気による関係性でもう1つ注目されるのが、2011年に台湾のウェン博士らが「ランセット(THE LANCET)」に発表した、「最低限の運動を行うことで、心臓病、糖尿病、そしてがんによる死亡率が低下する」という報告です。

 博士らは健康な成人約41万6000人を対象に、平均8年間の疫学調査を行い、運動と寿命や病気の関係を調べました。

 一般的に欧米諸国の人に比べると、東アジアの人は運動の強度が低く、身体活動が少ないと言われています。

 米国の「米国人のための身体活動ガイドライン(2008)」(2008 physical activity guidelines for Americans)や、WHOの「健康のための身体活動に関する国際勧告(2010)」(Global Recommendations on PhysicalActivity for Health)などのガイドラインでは、1日30分×週5日=週150分の余暇時間の身体活動が健康に良いとされています。

 米国の成人の約3分の1は週150分の運動をしているものの、日本や中国、台湾など東アジア諸国だと成人の5分の1以下の人しか、週150分の運動はできていないといいます。

 では、週150分以下の軽い運動が、本当に寿命や病気に好影響を与えるのでしょうか? 博士らは運動程度を、非常に高い、高い、中等度、低いというレベルに分けて見ています。

軽い運動でも平均寿命が3年も長くなる!?

 研究によれば、「全死因による総死亡率」は、運動レベルが低いグループでも運動をしないグループに比べれば14%死亡率が低下しています。

 また中等度、高い、非常に高いと運動の程度が高まるにつれて、死亡率は右肩下がりになっており、運動量に応じて全死因による死亡率が低下すると報告しています。また「あらゆるがんによる死亡率」、「心疾患による死亡率」、「糖尿病による死亡率」のすべてにおいて、運動量に応じて死亡率が低下するとも報告しています。

 こうした結果は男女ともに全年齢で、心血管疾患があったり、リスクのあるライフスタイルの場合でも、あてはまりました。ちなみに、博士らによると運動レベルの低いグループは運動をしないグループに比べて、平均寿命が3年も長くなるともしています。

 そしてまず1日15分、1週間に90分の運動を始めることを薦めています。

 コペンハーゲンの研究者らは、ジョギングと死亡率のU字型の関係を示していますが、台湾の研究者らは運動と死亡率は反比例するとしています。

 もちろん台湾の研究はジョギングではないので、単純な比較はできません。また、WHOのガイドラインも基準が異なります。最適な運動の量や時間を決めるためには、さらなるデータや研究が必要だと思います。

 ただ確実なのは、無理のない運動は健康のために必須ということですね。

大西睦子(おおにし むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2015年2月20日付け記事からの転載です。

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