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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

白色・褐色・ベージュ脂肪細胞…増やすと痩せる脂肪はどれだ?

運動量により増える脂肪の質が変わる

 大西睦子

【褐色脂肪細胞】多いとエネルギー代謝が高く太りにくい!

 最近、とくに研究者たちの間で話題の脂肪です。その名の通り褐色で、大きさは白色脂肪細胞より小さく、「UCP1」というタンパク質が多く発現しています。このUCP1が熱を生み出し、脂肪を燃やしてエネルギーに変えます。ですから、褐色脂肪細胞が多い人はエネルギー代謝が高く、太りにくいのです。褐色脂肪細胞は、肩甲骨、首筋、心臓、腎臓の周りなどに存在します。

褐色脂肪細胞の多い人は誰?

 褐色脂肪細胞は、脂肪を燃焼させて、体の熱を生成し、体温を維持するので、赤ちゃんや冬眠する動物に豊富です。ところが人間の場合、成長とともに褐色脂肪細胞の数や機能が低下していきます。

褐色脂肪細胞を増やす方法~その1:運動

 2013年、シカゴで開催された第73回米糖尿病学会で、ハーバード大学医学部ジョスリン糖尿病センターの研究者らは、マウスとヒトにおいて、体を動かさないことで増えた白色脂肪細胞が、運動をすることにより減り、褐色脂肪細胞が増えることを実証しました。さらに、白色脂肪細胞を減らした褐色脂肪細胞は、代謝そのものを改善する可能性があることも報告しています。

■参考文献

Joslin Diabetes Center「New Joslin Study Shows Exercise Creates “Good Fat”

 研究内容は、回し車で11日間運動させたマウスと、エアロバイクで12週間訓練した男性は、ともに白色脂肪細胞が減り、褐色脂肪細胞が増えたというもの。さらに研究者たちが、運動で鍛えたマウスの褐色脂肪細胞を、運動不足で脂肪の多いマウスに移植すると、移植後、少なくとも12週間は耐糖能(血液中の糖を正常に戻す能力)とインスリン感受性(インスリンの効き具合)が改善したのです。

 ジョスリン糖尿病センターのクリスティン・スタンフォード博士は次のようにコメントしています。

 「運動による良い効果は筋肉だけではなく脂肪にも影響します。運動によって褐色脂肪細胞が増え、より代謝が活性化するのです。健康な脂肪(褐色脂肪細胞)には、血流中に放出され、ほかの組織に働きかける未知の因子があると思います。ただし、ヒトにおける褐色脂肪細胞が、こうした影響をほかの組織に与えているかどうかは、現時点では分かりません。褐色脂肪細胞の移植は、ヒトではまだ行えないですから」

 将来、褐色脂肪細胞を体外で培養して増やしたあと、体内に移植するという肥満の治療が実現するかもしれませんね。現時点では、まず、体を動かして、体脂肪の性質を変化させるのが一番です。

褐色脂肪細胞を増やす方法~その2:寒さ

 イリシンというホルモンは、運動によって増加し、脂肪を燃焼させる役割を持っています。また、イリシンは、白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変える遺伝子を活性化させる働きがあると考えられています。

 アメリカ国立衛生研究所の研究者らは、科学雑誌「Cell Metabolism」に、寒さによる震えが、運動と同じようにイリシンを刺激し、白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞に変化すると2014年2月に報告しました。具体的には、約10~15分の寒さによる震えで、1時間の適度な運動と同等のイリシンの上昇をもたらしました。

■参考文献

US National Library of Medicine National Institutes of Health「Irisin and FGF21 are cold-induced endocrine activators of brown fat function in humans

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