日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > ダイエット・食生活  > 医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ  > グルテンフリーダイエットって誰が必要なの?  > 3ページ目
印刷

医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

グルテンフリーダイエットって誰が必要なの?

健常な人の減量効果には疑問の声も

 大西睦子

グルテンフリーダイエットが健康に悪影響をおよぼす!?

 炭水化物は、消化されて約4kcal/gのエネルギーを生み出す消化性炭水化物(いわゆる糖質)と、消化できずに腸内細菌が醗酵分解して0~2kcal/gのエネルギーを生み出す難消化性炭水化物に分けられます。後者には、食物繊維や糖アルコールが含まれます。

 小麦由来の難消化性炭水化物は、食後の血糖及びインスリンの増加を抑え、空腹時の血中(血清)中性脂肪を減らし、さらに体重を減らすことが報告されています。またフラクトオリゴ糖は、免疫状態、脂質代謝、およびビタミン・ミネラル吸収を改善するとされます。

 ですから厳格なグルテンフリーダイエットは、逆に健康に悪影響をおよぼす可能性があるのです。事実、最近ではグルテンフリーダイエットが有益な腸内細菌を減少させる可能性まで示唆されるようになりました。

グルテンと健康

 小麦や炭水化物のメリットだけでなく、グルテン自体もセリアック病やグルテン過敏症以外の、高脂血症の方の食事療法として、有益という報告もあります。

 高脂血症と診断された24人の成人に、2週間、小麦グルテンの消化を増やす食事を指示したところ、13%の人の血清中の中性脂肪が減少しました。

 またグルテンには、血圧調節や免疫システムに重要な役割があるのではないかともいわれています。

グルテンのタンパク質の栄養的価値は?

 グルテンは、簡単に言えば、植物由来のタンパク質です。タンパク質としてのグルテンを理解するために、まずは植物由来のタンパク質と動物由来のタンパク質の違いに触れておきましょう。

 タンパク質は、アミノ酸が結合して構成されています。タンパク質を合成するために必要な20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で合成できない必須アミノ酸で、残りの11種は非必須アミノ酸です。アミノ酸の量や必須アミノ酸の割合は食品によって異なるため、通常、アミノ酸スコアを用いて食品たんぱく質の栄養価を評価します。

 アミノ酸スコアは、国際連合食糧農業機関(FAO)や世界保健機構(WHO)の提示する国際基準値を100として、該当する食品に含まれる9種の必須アミノ酸の量を比較します。それぞれどの程度含まれているかを数値化し、そのうち最も不足している必須アミノ酸(=第一制限アミノ酸)を数値で示します。これは、アミノ酸全体の働きは不足するアミノ酸(=制限アミノ酸)に支配されるからです。タンパク質を体内で利用するためには、必要な必須アミノ酸をバランスよく含んでいなければなりません。

 いわゆる高タンパク質食品とは、アミノ酸スコアの高い食品を指し、その値は100に近くなります(あくまでも第一制限アミノ酸のスコアが国際基準をほぼ満たしている=100に近いのが高タンパク質食品であって、それぞれの必須アミノ酸の含有バランスが偏っていないとは限りません)。肉や魚、乳製品など動物性タンパク質のアミノ酸スコアは、ほとんどが100です。一方、植物性タンパク質は、例えば大豆が86、米が65、トウモロコシが42、小麦は37などというように、アミノ酸スコアが低くなります。

 小麦グルテンには必須アミノ酸のリジンが不足しているため、アミノ酸スコアは45くらいと低めです。となると、慢性腎不全などでタンパク質摂取量が制限される疾患の場合、グルテンはあまり摂りたくないタンパク質となります。なぜならアミノ酸スコアが高い高タンパク質食品を取ったほうが、補給できる必須アミノ酸量が多いからです。つまり栄養的には価値が低めのタンパク質ともいえます。

 となるとやはり、グルテンの摂取にメリットはないのでしょうか?

RELATED ARTICLES関連する記事

ダイエット・食生活カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

  • もの忘れと認知症の関係は? 認知症リスクを下げる生活のポイント

    年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うもの。しかし、「名前が出てこない」「自分が何をしようとしたのか忘れる」といった“もの忘れ”は、中高年になると誰もが経験する。⾃分は周りと比べて、もの忘れがひどいのでは? ひょっとして認知症が始まったのか? と不安になる人も多い。このテーマ別特集では、もの忘れの原因や、将来の認知症にどうつながるのか、認知症を予防するにはどうすればいいのかについて、一挙にまとめて紹介する。

  • 痛風だけじゃない!「高すぎる尿酸値」のリスク

    尿酸値と関係する病気といえば「痛風」を思い浮かべる人が多いだろう。だが、近年の研究から、尿酸値の高い状態が続くことは、痛風だけでなく、様々な疾患の原因となることが明らかになってきた。尿酸値が高くても何の自覚症状もないため放置している人が多いが、放置は厳禁だ。本記事では、最新研究から見えてきた「高尿酸血症を放置するリスク」と、すぐに実践したい尿酸対策をまとめる。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.