中高年に「突然死」が起きる理由
突然死は運動中に起こりやすい? 防ぐことはできる?
大西睦子
食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
瞬間死あるいは急性症状の発現後24時間以内の死亡で、外因死を除いた自然死のことを「突然死」と言いますが、日本ではこの突然死の中で最も多いのが急性心臓死だと言われています(関連リンク)。では世代別に見るとどうなのでしょうか?
アスリートの突然死は大きな注目を浴びるが…

ある日突然症状が出現した後、状態が急変し、24時間以内に死亡してしまうことを「突然死」と呼びます。働き盛りの中年の男性に多いといわれています。中年男性は、仕事や家庭において、とても重要な役割を担うため、突然死は周囲の人たちに大きな衝撃を与えます。
その突然死が、「運動中に起こりやすい」という噂を聞いたことはありませんか?
例えば、北島康介選手のライバルなどともいわれた競泳ノルウェー代表のアレクサンドル・ダーレ・オーエン選手や、サッカー元日本代表の松田直樹選手など、運動中に起こる突然死は通常、公共の場で、多くの人の前で起こるため、社会的に大きな注目を浴びます。また、健康の象徴であるアスリートの突然死により、多くの人が運動に対するネガティブな感情を抱きます。
実際、運動は突然死のリスクになるのでしょうか?
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- 運動関連の突然の心停止、発症率は低い