やっぱり危ない!? 粉末状カフェインの使用
米国で2014年に死亡事故が発生
大西睦子
薬物乱用衛生管理局が粉末状カフェインでの緊急搬送を把握していない
米国政府によると、エナジードリンクに関連する合併症で、年約2万1000人が、緊急治療室を受診したことが報告されています。ところが、薬物乱用衛生管理局(Substance Abuse and Mental Health Services Administration:SAMHSA)は、どれだけの人が、粉末状カフェインが原因で緊急治療室を受診したかを把握していません。
Substance Abuse and Mental Health Services Administration(SAMHSA)「Update on Emergency Department Visits Involving Energy Drinks: A Continuing Public Health Concern」
今後FDAは、粉末状カフェインの安全性など調査を進める予定です。その結果次第で、粉末状カフェインの販売規制や禁止する可能性はあります。
魔法のサプリメントはない
さて今日、マルチビタミンやコラーゲンなど、サプリメントは日本人にとっても決して特別なものではありません。若者はもちろん、健康を気にする中高年や、関節痛等に悩む高齢者にも使用が広がっているようです。薬よりも気軽に手を伸ばせる健康食品という位置づけのせいかもしれません。
そんな中、アベノミクスの成長戦略の一環として、政府は、米国のように、サプリメントのラベル表示の規制を緩和する方針を打ち出しました。これにより今後、サプリメントの市場は拡大するでしょう。
しかし忘れてはならないことは、健康増進・維持には、適度な運動とバランスのいい食事、睡眠が必要だという基本です。これらに置き換わる、魔法のサプリメントはないのです。サプリメントを活用してメリットを得たい場合は、個別に専門家の意見を求め、慎重に慎重を重ねてその必要性を検討すべきでしょう。
議論されている規制緩和が、単なる市場拡大だけでなく、サプリメントの正しい知識と利用、ひいては国民の健康につながることを期待します。
医学博士

