やっぱり危ない!? 粉末状カフェインの使用
米国で2014年に死亡事故が発生
大西睦子
食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
仕事や勉強のため、眠くならないようにとカフェインを摂取することはありませんか? そのカフェインを手軽に摂れて、眠気を抑えたり脂肪燃焼に期待できるなどとして人気を得ていた「粉末状カフェイン」の過剰摂取が原因とされる死亡事故が2014年に米国で発生しています。今回は、この粉末カフェインについて解説していきます。
粉末状カフェインとは?
2014年、米食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)は、消費者に対し、純粋な粉末状カフェインの使用を避けるように警告を出しました。
U.S. Food and Drug Administration「FDA Consumer Advice on Powdered Pure Caffeine」
純粋な粉末状カフェインとは、100%のカフェインのこと。ティースプーン1杯の粉末状カフェインに、コーヒー25杯分相当のカフェインが含まれています。
FDAによると、純粋なカフェインは強力な興奮剤であり、非常に少量でも過剰摂取になる危険性があります。過剰摂取は不整脈や発作を引き起こし、死に至る可能性もあります。あるいは軽くても嘔吐、下痢、昏迷や、「今がいつでどこなのか」などが分からなくなる見当識障害といったカフェイン中毒の症状をきたすことがあります。
粉末状カフェインによるこうした症状はコーヒー、紅茶、またはほかのカフェイン入りの飲み物を過剰に飲んだ場合よりも、はるかに深刻になることが多いというわけです。
しかし、粉末状カフェインは若者にとって魅力的な売られ方をしています。例えば運動のパフォーマンスを高めるためだったり、減量のためだったり、あるいは遅くまで勉強するためとして。
その弊害は大きく、米国では2014年5月と6月に、粉末カフェインの過剰摂取で少なくとも2人の若者の死亡が確認されています。