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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

揚げ物の食べ過ぎで「がん」のリスク高まる!?

週1回の摂取でも赤信号

 大西睦子

スナック菓子も含めて揚げ物は“ある種”のがんのリスクになる

 もちろん、違います。

 遺伝的な要素が、どのくらい肥満に関与するのかは、この報告も含めて大議論となっていますが、なんといっても肥満の原因はライフスタイルです。ですから、バランスのいい食事と適度な運動は必須です。そして、もう一つ、揚げ物には大きな問題があります。

 それは、揚げ物がある種のがんのリスクになることです。これまでに、中国人女性への大規模調査で、揚げた赤身肉と魚を大量摂取すると乳がんのリスクが増加することが報告されています。また、揚げ物の取り過ぎは、肺がん、膵臓がん、頭頸部がん、および食道がんとも関連性が指摘されています。

 昨年、米シアトルにあるフレッド・ハッチンソンがん研究所の研究者らは、フライドポテトやフライドチキン、ドーナツなどの揚げ物食品の定期的な消費が、前立腺がんのリスク増加や悪性度の高さと関連しているかどうか、大規模調査を行い評価しました。

 対象は、前立腺がんと診断された男性1549人と、健康な男性1492人(35~74歳)です。

 参加者は、油脂で揚げた特定の食品に関する質問を含め、食物摂取に関する食生活のアンケートに答えています。さらに研究者らは、フライドポテト、フライドチキン、魚のフライ、ドーナツ、ポテトチップスのようなスナック菓子、という5つの揚げ物の摂取に焦点を絞りました。そしてこの5つのそれぞれの消費頻度を1カ月に1回未満、1カ月に1~3回、1週間に1回以上に分類しました。

 結果はというと…。

揚げ物の摂取で前立腺がんのリスクが3割以上増し!

 フライドポテト、フライドチキン、魚のフライ、ドーナツを少なくとも週に1度以上は食べた男性は、月に1回未満摂取した男性と比較して、前立腺がんのリスクが増大したのです。

 具体的に見てみると、フライドポテト、フライドチキン、魚のフライ、ドーナツを少なくとも週に1度以上は食べた男性は、月に1回未満の男性と比較して、前立腺がんのリスクがそれぞれ37%、30%、32%、35%上昇しました。

 さらに、これらの食品を多く消費することは、より悪性度の高い前立腺がんの発症リスクに関与すると分かりました。少なくとも週に1度以上食べた男性は、月に1回未満の男性と比較して、フライドポテト、フライドチキン、魚のフライ、ドーナツで、それぞれ41%、30%、41%、38%、リスクが増加したのです。

揚げ物は週に1回未満

 揚げ物摂取が前立腺がんのリスクになる原因は、揚げ物は調理の過程で潜在的に

[1]終末糖化産物

[2]アクリルアミド

[3]ヘテロサイクリックアミンおよび多環芳香族炭化水素

 などの発がん性化合物を形成することが考えられています。これらは油の再使用や再加熱とともに増加し、また揚げ時間の長さに伴って増加します。

 こうした研究成果を見ていくと、私たち誰もが、揚げ物は週に1回未満にするのが良さそうです。同じ素材でも、煮たり蒸したり、別の調理法を工夫して、味わいたいですね。

大西睦子(おおにし むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2014年3月28日付け記事からの転載です。

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