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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

「女性の求める男らしさ」って何でしょう?

米国でテストステロンの乱用が社会問題に

 大西睦子

長期作用型の注射用テストステロンの承認と問題点

 皮膚パッチや短時間作用型注射製剤、ジェルは一見手軽ですから、拡大するのも当然でしょう。

 ただ、皮膚パッチは毎日貼り替える必要があり、かぶれたり、はがれたりする可能性も当然あります。ジェルは、吸収率が不安定で、女性や子どもが触れるリスクがあります。また短時間作用型注射の場合、痛みを伴いますし、継続が厳しいという問題がありました。

 ところが、2014年3月6日に、Endo社のAVEEDという、長期作用型の注射用テストステロンが、過去3回の拒否にも関わらず、ついに米国食品医薬品局(FDA)に承認されたのです。この承認に関して、大きな議論を呼んでいます。

■参考文献
Endo「AVEED」

 AVEEDは、治療開始時に1度筋肉内注射し、その4週間後にもう1度注射、それからは、10週間ごとに注射し、正常範囲内のテストステロン値を維持します。

 ところが、AVEEDは、深刻な肺微小塞栓の合併症や重篤なアレルギー反応という副作用を引き起こす可能性があります。ですから、投与後30分は、病院やクリニックで経過観察をしなければなりません。さらに、AVEEDの警告として、前立腺肥大の悪化、前立腺がん、肝臓毒性、末梢浮腫、睡眠時無呼吸、および静脈血栓症のリスクがあります。また、にきび、疲労、神経過敏、ホルモン不規則性、気分のむら、不眠などの副作用の可能性もあります。

 これだけ副作用の可能性があれば、認可されたことが議論になっても不思議ではないですよね。

 AVEED承認発表直後、消費者擁護団体パブリック・シチズンが、テストステロン製品が心血管疾患のリスクになるという最近の研究を引用し、FDAに取り消しを呼びかけました。そして、すべてのテストステロンの薬に心血管リスクについて、太字の警告ラベルを追加するように、呼びかけています。

 これに対してFDAは、テストステロンの製品の見直しを続け、AVEEDのリスクは既に市場に出回っている他のテストステロンの薬に比べて、大きな違いはないと述べています。

テストステロンの売り過ぎ?

 さて、米国の製薬会社の広告は、テストステロンが通常より低いレベルである以外は全く健康な高齢男性に焦点を当て、補充療法を推進しています。そして、製薬会社や多くの医師が、不眠症から性欲減退に至るまで、テストステロン療法が、老化に伴う、これらの不快な症状を改善すると主張しています。ところが、これらの主張は主に、短期的な研究に基づいているので、長期的な影響はわかりません。

 これまで、ゆっくりと老化してきた体を、テストステロンを補充して、急に変化させるのは危険なのです。テストステロンの分泌を増やすためには、十分な睡眠、バランスのいい栄養摂取、適度な運動、大きな野望と自信を持つ、恋愛をするなどの方法があります。まずは、これらの改善から取り組むべきです。その上で、テストステロン補充療法が必要かどうかは、じっくり、信頼のおける専門医と相談することが重要です。

女性が男性にして欲しいこと

 ところで、女性からの魅力のある男性の話題は、米国でも日本でもつきることはありません。文化によっても、理想の男性像の違いはあるかもしれませんが、男女間でも差があるようです。男性は、強くてたくましく、高い社会的地位を目指している人が多いのではないでしょうか?

 これに対し、「女性が男性にして欲しい5つのこと」を、米国FOXニュースが報告しました。

[1] 一緒に過ごす時間
[2] 感謝
[3] 理解
[4] 楽しみ
[5] 愛情の意思表示

 この結果からすると、多くの女性が男性に求めているのは、特別大きな成果ではないようです。むしろ、お互いのコミュニケーションを深め、人生を共有する、日々の小さな内面の充実にあるようですね。

大西睦子(おおにし・むつこ)
大西睦子(おおにし・むつこ) 医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2014年3月25日付け記事からの転載です。

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