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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

加工肉や赤身肉と、どう付き合うべき?

「加工肉などが大腸がんリスクを高める」というWHO発表の真意とは

 大西睦子

なぜIARCは、加工肉と赤身肉を評価した?

 たばこやアルコールに比べるとリスクが低いとさえいえる加工肉や赤身肉を、あえて発がん性があるかどうか評価した理由は、世界中の多くの人が肉を摂取しているからです。特に低・中所得国で肉の消費量が増加しているので、公衆衛生上で重要と判断したのです。

加工肉や赤身肉に発がん性があるのはなぜ?

 がんになる詳しいメカニズムの調査は続いていますが、可能性はいくつか示唆されています。

 例えば、多くの加工肉は、微生物の繁殖を抑えるために、亜硝酸塩を保存剤として添加しています。特に、亜硝酸塩の抗ボツリヌス作用は重要です。ボツリヌス菌は、重篤な食中毒を起こす細菌の一つで、中毒を起こすと筋肉が麻痺し、うまく話せない、ものを飲み込みにくい、さらに呼吸ができなくなり死に至ることもあるという、恐ろしいものです。

 IARCは、亜硝酸塩を「ヒトに対しておそらく発がん性がある」と判定しています。なぜなら亜硝酸塩を含む肉を、揚げたりグリルなどの高熱で調理すると、発がん性物質のニトロソアミンなどのニトロソ化合物になるからです。さらに、調理でニトロソアミンが形成されなくても、胃の中で胃酸が亜硝酸塩をニトロソアミンに変えることが分かっており、マウスなどの動物実験の結果、ニトロソアミンは大腸がんを引き起こすことが示されています。さらにスペインの研究者らが、1985年から2005年までに発表された61の科学論文を調査し、亜硝酸塩とニトロソアミン、およびこれらの物質が多く含まれるのは、胃がんのリスクを高めると報告しています。

 また、肉を調理すると発がん性物質が発生するともされています。これは例えば肉をフライパンやバーベキューなど直火の上で高温で焼くと、肉からの脂肪滴が火の上に滴下し、炎を引き起こす光景を見たことがあると思いますが、このとき、ヘテロサイクリックアミンと多環芳香族炭化水素(PAH)と呼ばれる物質が形成されます。ヘテロサイクリックアミンは、食品中のアミノ酸、糖、および筋肉にあるクレアチンという物質が高温で反応するときに生成されます。一方、PAHは、肉からの脂肪滴が火の上に滴下し、炎を引き起こして形成されます。ヘテロサイクリックアミンやPAHは、突然変異誘発性、つまりDNAの変化を引き起こして、がんのリスクを増加させる物質です。

 ヘテロサイクリックアミンやPAHの形成は、肉の焼き具合によって異なります。肉の種類によらず、グリルやフライパンで焼くように、約150度以上で長時間調理すると、よりの多くのヘテロサイクリックアミンやPAHを形成する傾向があります。残念ながら、どのくらいのヘテロサイクリックアミンを摂取すると、どの程度のがんのリスクがあるのかは、まだ分かっていません。

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