IgG検査に疑問あり!? 抗アレルギーダイエットへの懸念
必要のない食事制限を招く恐れも
大西睦子
食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。

米国ではこのIgG検査の有用性が、疑問視されています。
米国では、日本と同様に、食物アレルギーが大きな問題になっています(関連記事)。
食物アレルギーには有効な治療法がないので、アレルギーの原因となる食品を避けることが、治療や予防になります。
ところが最近、米国では、不必要に食物を排除しすぎて、栄養不足になることが懸念されています。
そもそもシンプルに言えば、食物アレルギーとは、私たちが何か食べたあとにあらわれる、蕁麻疹、息切れや目のかゆみなどの異常な症状を指します。重篤になると、複数のアレルギー症状が全身に、短時間で起こります。これはアナフィラキシーと呼ばれ、呼吸困難、血圧低下、意識を失うなどのショック症状により、生命にかかわる危険な状態となることもあります。
このタイプの反応は、IgE(免疫グロブリンE)と呼ばれる抗体が関与する、「即時型」といわれるアレルギーです。私たちが、アレルギーの原因となる食べ物(主にタンパク質)=アレルゲンを摂取すると、アレルゲンと戦うために、IgE抗体が作られます。こうして体を守る反応を免疫反応と呼びます。ただし、この免疫反応がある食べ物に対して過剰に反応すると、食物アレルギーが起こります。食物アレルギーだけではなく、花粉症、アトピー性皮膚炎や気管支喘息も、「即時型」のアレルギーです。