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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

水の一気飲みに注意! 1日にどれぐらい、どう飲めばいい?

運動中の飲み過ぎでも水分不足でも死亡事例が…

 大西睦子

飲み過ぎは、かえって体に害がある…死に至ることも!?

 ただし過剰な水分補給も問題です。

 世界中の17人の専門家が集まり、安全に水を飲むための新しいガイドラインを作成し、2015年7月号の「臨床スポーツ医学(Clinical Journal of Sport Medicine)」に掲載しました。

 この報告では、運動中に喉の渇きを超えて水を飲むことの危険性を警告しています。

 特にアスリートは、一気に大量の水分を補給して、運動による低ナトリウム血症(exercise-associated hyponatremia:EAH)をきたす危険があります。低ナトリウム血症は、血液中のナトリウムの量が低くなり、血液中の浸透圧が低下する現象です。すると、浸透圧の低い血液(細胞外)から細胞内に水が移動して細胞が膨らみ、脳の浮腫(むくみ)などをきたします。

 EAHの症状は、立ちくらみ、めまい、吐き気、むくみ、体重増加、重症例では、嘔吐、頭痛、錯乱、興奮、せん妄、けいれん、および昏睡をきたす可能性があります。一般には無症状のEAHが圧倒的に多いですが、1981年以降、少なくとも14人のマラソンランナー、サッカー選手などが、EAHにより死亡しています。原因は、運動中の水やスポーツドリンクの飲みすぎに起因しています。

 EAHの危険因子は、以下になります。

[1]水やスポーツドリンクなどの水分の過剰補給
[2]運動中の体重増加
[3]4時間以上の運動
[4]不慣れなイベント参加や不十分なトレーニング
[5]ゆっくりとした運動(発汗以上の水分補給)
[6]ボディマス指数(BMI)の高い人と低い人
[7]容易に飲み物が手に入る環境

 また、甲状腺の病気、心臓、腎臓や肝臓の病気がある人は、水を飲み過ぎる可能性があります。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの薬は、体内にナトリウムや水の貯留をきたし尿が減ることがあります。また、いくつかの抗うつ剤の副作用として排尿障害がありますので、医師に適量を確認してください。

 結論として、水分補給は、多すぎず、少なすぎず、喉の乾きに応じて補給するのが鍵です。高齢者の方は、喉の乾きを感じにくくなりますので、一日を通じて水分補給に注意して、脱水を予防しましょう。

大西睦子(おおにし むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2015年8月3日付け記事からの転載です。

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