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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

日焼け止めで欠乏症に!? ビタミンD不足に注意が必要な理由とは

骨粗しょう症、筋力低下、心疾患、免疫低下を招く恐れも

 大西睦子

ビタミンD欠乏症はグローバルな問題

 地球上の約71億人の総人口中、約10億人はビタミンD不足とされています。

 米国ではサンフランシスコ(北緯38度)より北に位置する地域では、ビタミンDを合成するための太陽の紫外線が足りないとされています。日本では東北地方や北海道が、北緯38度より北に位置します。また、太陽の下で過ごす時間が1日15分以内の人、高齢者、太り過ぎや肥満の人、有色人種は、白人よりビタミンDのレベルが低い傾向があり、ビタミンD欠乏症を起こしやすくなります。

 また日焼け止めを“正しく”使いすぎたり、日傘などで日差しをよけすぎたりすると、紫外線がブロックされて、皮膚で合成されるはずのビタミンDができません。

 世界保健機関(WHO)は、間違いなく少量の日光が健康にとって大切で、ビタミンDを作るのに必要な日光照射の目安は、肌の色や生活習慣での違いはあるものの、顔と両手両腕に1週間に2、3回、夏季で約5~15分(低緯度はさらに短時間)としています。また、環境省では日本における日光照射時間は、両手の甲に1日1回、ひなたで約15分あるいはひかげで約30分必要としています(ほかに、平均的な食事の摂取も必要)。ただし日本国内でも、紫外線の量は、時刻、緯度や季節によって異なります。国立環境研究所と東京家政大学の研究チームの報告によると、日本の基準における必要量のビタミンDを生成するための日光浴は、紫外線の弱い12月の正午において、那覇7.5分、つくば22.4分、札幌76.4分、紫外線の強い7月の晴天日の正午には、那覇2.9分、つくば3.5分、札幌4.6分の日光浴が必要なことが分かりました。

ビタミンD欠乏症が懸念される理由

 ビタミンDは、カルシウムやリンの代謝に必須の栄養素であり、古い骨を溶かして新しい骨を作る「骨代謝」の維持や活性化に重要な役割を担っています。

 ビタミンDが不足すると、骨の石灰化の障害が起こり、硬い骨が軟らかくなります。このような病態を、乳幼児や小児では「くる病」と呼び、頭がい骨が軟らかくなる、はいはいができるようになるのが遅くなるなど成長に異常が見られたり、足の骨が曲がって歩行困難になることがあります。また成人になって発症する場合は「骨軟化症」と呼ばれ、筋肉や骨が弱くなり、痛みを感じる場合もあります。

 高齢者の場合は、ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収が悪くなり、骨粗しょう症を招き、骨折のリスクが増加します。くる病や骨軟化症は、骨粗しょう症に比べると認知度は低いですが、歴史的には戦後の栄養不足により問題となっていました。ところが最近、女性の美容上の問題による過度な紫外線対策や極端なダイエット、子どもの外遊びの減少や誤った知識によるアレルギー疾患の食事制限、母乳栄養などが原因で、再び問題になってきています。

 ただ、骨折に対するビタミンD不足は、サプリメントで予防できることが示唆されています。

 例えば、2009年にスイスのチューリヒ大学の研究者らが行った、4万人以上の65歳以上の高齢者(ほとんど女性)を対象とした調査では、ビタミンDサプリメントを1日あたり約800IU(International Unit/国際単位)摂取した人は、ビタミンDの摂取が1日あたり400IU以下の人に比べて、股関節と非脊椎骨折が20%減少しました。

■参考文献
US National Library of Medicine National Institutes of Health「Prevention of nonvertebral fractures with oral vitamin D and dose dependency: a meta-analysis of randomized controlled trials.

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