インスタントラーメンで女性のメタボが加速!?
週2回以上の摂取には要注意
大西睦子
食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
深夜まで働いてお腹がすき、インスタントラーメンを食べる……ということはないでしょうか? お湯を沸かせばすぐに食べられるカップ麺は、とても便利です。
そんなインスタントラーメンのリスクが、米国では大きな話題になっています。

安くて手軽に食べられるインスタントラーメン。昨日は夜食に袋麺、今日はお昼にカップ麺、と利用している方は多いのではないでしょうか?
そのインスタントラーメンと肥満や高血糖を特徴とするメタボリック症候群のリスクとの関連性が、米国の栄養学雑誌「The Journal of Nutrition」に報告され、米国のメディアで大きな話題となりました。
一人当たり消費量No.1の韓国で調査
米ハーバード大学の研究者らは、2007年から2009年までの韓国の国民健康栄養調査(KNHANES)をもとに、インスタントラーメンを食べる頻度を含む食事パターンと疾病・健康状態の関係を分析しました。調査の対象は、19歳から64歳までの計1万711人(女性55%)です。
The Journal of Nutrition「Instant Noodle Intake and Dietary Patterns Are Associated with Distinct Cardiometabolic Risk Factors in Korea」
世界インスタントラーメン協会(World Instant Noodles Association)のデータによると、インスタントラーメン消費量トップ10カ国のうち8カ国がアジア圏。このうち韓国は2013年に合計36億食を消費していて、国民1人あたりの消費量では世界一でした。
ちなみに、2013年の日本のインスタントラーメン消費量は55億食です。1人あたりの消費量は韓国より少ないものの、合計量で見れば、日本(人口約1億2709万人)は中国・香港(人口約14億人)とインドネシア(人口約2.5億人)に次ぐ世界第3位の市場です。
韓国では、1998年から2007年の間に太りすぎの成人が26%から32%に、メタボリック症候群の人が25%から31%に増加。その結果、心血管疾患による死亡数や全死亡数が上昇しただけでなく、それに伴ってヘルスケア費も増加しました。その原因として、ハンバーガーやインスタントラーメン、ピザなどのファストフードに代表される不健康な食生活が指摘されました。
ただし、メタボリック症候群とインスタントラーメン単独との関係については明らかになってはいませんでした。
