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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

エナジードリンクを飲む前に、知っておくべき7カ条

カフェインや添加物の摂り過ぎに注意

 大西睦子

【成分2:ガラナ】ドリンクのカフェイン含有量に表示されない!?

 南米の植物で「ブラジルのココア」としても知られるガラナには、カフェインの一種であるguaranineと呼ばれる物質が含まれ、ガラナ1gはカフェイン40mgに相当します。

 ところが栄養ドリンクのカフェイン含有量の表示には、通常ガラナは考慮されていません。だからガラナ入りのエナジードリンクには、より多いカフェインが含まれていると認識しなければなりません。

【成分3:タウリン】害は限られているがアルコール消費を助長?

 タウリンは、エナジードリンクの中で最も一般的な成分の1つです。私たち人間の体は、他のアミノ酸から独自にタウリンを合成できます。また、タウリンは肉、魚介類、牛乳中に存在し、私たちの健康に有益な効果がされています。

 ただし、タウリンの効果のほとんどは、タウリン単独ではなく、カフェインや他の物質と混合されて発揮します。エナジードリンクの定期的な摂取によって消費されるタウリンの量は、普通の食事から摂取するタウリンの量(1日あたり40~400mg)を超えますが、タウリンの過剰な摂取による害は限られています

 ただしタウリンはアルコールの悪い影響を抑えることが示唆されており、それがアルコールの消費を助長しかねません。

【成分4:朝鮮人参】実は有害性も

 朝鮮人参は、運動パフォーマンスの向上、免疫系の刺激や気分の向上に効果があると言われていますが、不眠症、動悸、頻脈、高血圧、むくみ、頭痛、めまい、躁病あるいはエストロゲン様作用などの有害性も報告されています。

 注意したいのは多くのエナジードリンクには、治療用量(100~200mg/日)ほどには朝鮮人参は含まれていないこと。最低治療用量を得るためには、エナジードリンクを2~4本摂取しなければならず、そうなるとほかの成分は摂りすぎということになります。

【エナジードリンク成分5】その他の添加剤

 その他の添加剤(例えば、ビタミンB群やカルニチンなど)にも、さまざまな効果が噂されていますが、 今の段階では十分な科学的証拠を欠いています。それらを少量あるいは大量、さらに長期に摂取することが人体にどのような影響があるかは、分かっていないのです。

エナジードリンクを飲む前に、知っておくべきこと

 以上のことから、冒頭で紹介した「Energy Drinks ── What Teenagers (and Their Doctors) Should Know」の著者らは、私たちがエナジードリンクを飲む前に、知っておくべきことを、7カ条にまとめています。

[1]エナジードリンク市場規模や展望を理解し、どのエナジードリンク(ブランド)が人気があるのかを認識する
[2]10代の若者が、パフォーマンスの向上のために、エナジードリンクを多く消費していることを認識する
[3]エナジードリンクの成分を知って、それらの健康に対する懸念を理解する
[4]エナジードリンクは、若者の肥満や高血圧、頻脈を引き起こす可能性があることを理解する
[5]アルコールとエナジードリンクを混ぜたカクテルの危険性を知る
[6]アルコール耐性/依存と、カフェイン耐性/依存の関係を理解する
[7]若者のエナジードリンク消費の調査や、適切なカウンセリングの実施が重要であることを理解する


 眠気を覚まし、ビタミンやミネラル、その他の成分が強化されたエナジードリンクは、パフォーマンスを向上させたいときには確かに一見魅力的です。ただし、こうしたエナジードリンクが、カフェインや人体への影響がはっきりしない添加物を摂り過ぎる結果を招くであろうことも、よく念頭に置き、飲みすぎないよう慎重になるべきですよね。

 何より、エナジードリンクに頼る前に、基本に立ち返り、健康に良い食べ物を食べ、適度な睡眠をとったほうが、エネルギーを獲得するのにいい方法だと思いませんか?

大西睦子(おおにし むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2014年10月17日付け記事からの転載です。

■変更履歴
3ページ目、初出では「日本でも2011年に、食品安全委員会(内閣府)が海外のリスク管理機関等の状況をまとめ、悪影響のない最大カフェイン摂取量を、以下のように設定しています」とありましたが、食品安全委員会は、海外の状況をまとめて発表しているだけでしたので、「日本でも2011年に、食品安全委員会(内閣府)が海外のリスク管理機関等の状況をまとめ、以下のように発表しています」に変更しました。 [2017/6/27 19:00]

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