高タンパク質ダイエットって、大丈夫?
年齢により異なる動物性タンパク質の摂取リスク
大西睦子
タンパク質の摂取と死亡率との関連
2014年3月、南カリフォルニア大学(University of Southern California)長寿研究所のバルター・ロンゴ(Valter Longo)教授らが、タンパク質の摂取と死亡率との関連について、科学誌「Cell Metabolism」に報告しました。
Science Direct「Low Protein Intake Is Associated with a Major Reduction in IGF-1, Cancer, and Overall Mortality in the 65 and Younger but Not Older Population」
研究者らは国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)を用いて疫学調査を行いました。研究の対象者は50歳以上の米国人男女6381人(50~65歳:3039人、66歳以上:3342人)です。
対象者の1日の平均摂取カロリーは1823kcal。摂取カロリーのうち炭水化物が51%、脂質が33%、タンパク質は16%を占め、タンパク質のうち3分の2は動物性タンパク質でした。
そこで研究者らは、タンパク質の摂取によって、以下のように分類しました。
[1]低タンパク質摂取群:タンパク質からのカロリー摂取が10%未満
[1]中タンパク質摂取群:タンパク質からのカロリー摂取が10~19%
[1]高タンパク質摂取群:タンパク質からのカロリー摂取が20%以上
18年間の追跡期間中、全死亡率は40%、心血管疾患は19%、がんは10%、また約1%が糖尿病にかかっていました。
細かく見ていきましょう。
タンパク質を多く取るとがんや死亡リスクが高まる
50~65歳の高タンパク質摂取群の全死因の死亡率は、低タンパク質摂取群より74%も高くなりました。また、がんによる死亡リスクが4倍増加しました。中タンパク質摂取群のがんによる死亡リスクは、低タンパク質摂取群の3倍でした。
中タンパク質摂取群のタンパク質摂取量を、低タンパク質摂取群の量に変更すると、死亡リスクは21%減少しました。高タンパク質摂取群のタンパク質摂取量を低タンパク質摂取群の量に変更した場合、死亡リスクは28%減りました。
また肉や乳製品の動物性タンパク質は、がんおよび全死亡率のリスクを高めましたが、植物性タンパク質は、影響がありませんでした。
対象者を45~65歳に広げても、同様の結果が得られました。ところが65歳以上の場合、高タンパク質摂取が、がんおよび全死亡率の減少と関連しました。
ではなぜ50~65歳では、高タンパク質の摂取が、がんや死亡率を高めるのでしょうか?