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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

高タンパク質ダイエットって、大丈夫?

年齢により異なる動物性タンパク質の摂取リスク

 大西睦子

タンパク質は減らすべき?

 ではタンパク質は、摂取量を減らすべきなのでしょうか?

 その答えは、簡単ではありません。

 実際、世界を見渡すと低栄養で苦しむ人が数多くいます。健康に生きるために必要な栄養素、特にタンパク質を含むエネルギーが充分に取れていない低栄養状態は、「PEM」(Protein Energy Malnutrition;タンパク質エネルギー栄養障害)と総称され、発展途上国では、小児の死亡原因の50%以上がPEMに関連しているといわれるほどです。

 PEMには極度のタンパク質不足によるクワシオルコル(kwashiorkor)、エネルギー不足によるマラスムス(marasmus)、両方が混合したマラスミック・クワシオルコルがありますが、アフリカや東南アジアの発展途上国の乳幼児に多く見られるのは、このうちクワシオルコルです。ガーナの言葉で「弟や妹が生まれたために母親から離れさせられた子どもに起こる病気」を語源としています。クワシオルコルになると、足のむくみや膨れたお腹が特徴的な体形になり、顔・手腕のむくみ、筋力低下、肝臓の腫れ、細い毛髪、皮膚炎、無気力、低身長などの症状も見られます。ただし体重減少は、マラスムスほど激しくはありません。

 一方、極度の摂取エネルギー不足で起こるマラスムスは、多くは発展途上国において、特に離乳後に十分なエネルギーを摂取できない子どもが発症します。皮下脂肪が失われたり、筋萎縮の症状が出たりします。一般的にクワシオルコルのようなむくみはありませんが、重度になれば高度な発育障害と明らかな体重減少が起き、全身が衰弱します。ただし、状態が改善されればクワシオルコルより予後は良好です。実はマラスムスは近年、途上国だけでなく、先進国でも起きています。拒食症などの若い女性に多くみられる摂食障害などによる栄養障害がその原因です。

植物性タンパク質をベースに動物性タンパク質もバランスよく

 一体、タンパク質はどれくらい摂取すればいいのでしょうか?

 成長期、繁殖期には十分なタンパク質が必要ですし、生活活動強度とライフステージによって望ましいタンパク質と糖質の比は異なるため、個人差があります。

 米国医学研究所(Institute of Medicine)は、1日のタンパク質の摂取量の目安を、体重1kgに対し0.8g(体重が65kgなら52g)、摂取カロリーの10~35%と、広い範囲を推奨しています。

 肉、魚、牛乳や卵などに含まれる動物性タンパク質には、私たちが体内で作ることができない必須アミノ酸が豊富に含まれ、植物性タンパク質に比べて、体が利用しやすいという利点があります。タンパク質を過剰に摂取する必要はありませんし、動物性タンパク質の過剰摂取については前述の通りリスクが示唆されていますが、豆類、ナッツなど、食物繊維、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富な植物性タンパク質を多く含む食品をベースにして、動物性タンパク質も適量をバランスよく摂取することが重要です。

大西睦子(おおにし むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2015年6月10日付け記事からの転載です。

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