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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

“5:2ダイエット=ゆる断食”って効果あるの?

忘れてはならない基本は“バランスの良い食事”

 大西睦子

5:2ダイエット、マウスの場合は毎日続ける9時間ダイエットと差がない

 ところで8時間ダイエットを実行しようとすると、毎日の習慣として取り入れる場合には16時間の絶食が必要となります。例えば朝8時に1日の1食目を食べた場合、食事の終わり時間16時となり、難しいのが現実です。

 そこでパンダ教授らは、食事時間制限ダイエットを人間のライフスタイルでも適用できるか検証するため、新たに生後12週のオスの野生型マウス392匹を用いて実験を行いました。食事の時間枠は
■ 制限なし
■ 9時間
■ 12時間
■ 15時間
 の4種類に増やし、高脂肪の食事を与えて経過を観察しました。

 すると、9時間ダイエットグループは、マウスの体重は12週間で平均+26%でしたが、15時間ダイエットグループは平均+43%を超え、制限なしは平均+65%となりました。食べない時間が長いほどダイエット効果が高い結果といえます。

 研究チームはさらに、週末には自由な食事が許される現代人のライフスタイルを想定し、5日間の9時間ダイエット+2日間制限なし(5:2ダイエット)というスケジュールで12週間経過を観察すると、マウスの体重は平均+29%となりましたが、これは1日も休まず9時間ダイエットを続けたグループと同程度でした。つまり週末の休息は、食事時間制限ダイエットに支障をきたさないことが示唆されました。

 これらの結果は、2014年12月、科学誌「Cell Metabolism」に報告されました。

「時間制限ダイエットさえすれば、何を食べてもいい」わけではない!

 ただし注意が必要なのは、通常食では9時間ダイエットグループと制限なしグループどちらも体重増加に差が見られず、食事時間制限ダイエットは、脂肪やショ糖の多い食事の場合に、より効果が期待できることが示されました。

 2014年11月の米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of :PNAS)誌に、パンダ教授は、「健常な人、肥満、糖尿病、がん、心臓血管疾患、および神経変性疾患を伴う人も含めて、今後、時間制限ダイエットや間欠的なエネルギー制限(間欠的断食)のランダム化比較試験が必要」と述べています。

 パンダ教授らの結論は、「時間制限ダイエットさえすれば、何を食べてもいい」、という意味ではありません。忘れてはならない基本は、バランスの良い食事です。また、適度な運動、睡眠を心がければ、自然に生活のリズムや体内時計が整います。時間制限ダイエット、プチ断食、5:2ダイエットなどの効果については、ランダム化した臨床試験の結果が待たれますね。

大西睦子(おおにし むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2015年4月30日付け記事からの転載です。

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