デジタル機器の利用時間は染色体にまで影響する!?
視覚障害、ストレス増加、衛生悪化の懸念も
大西睦子
食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
1日に何時間くらいデジタル機器を使っていますか? その利用時間が、健康に影響を与えるとしたら? 今回はデジタル機器の利用と健康へのリスクについて解説します。
1日11時間も電子メディアを使用!?

2015年4月4日、マイクロソフト社は創立40周年を迎えました。この日、共同創業者のビル・ゲイツ氏が全従業員に次のようなメールを送ったそうです。
「我々の当初の目標は、世界中にある机のすべてに、そしてすべての家庭にコンピューターを置くことでした。これは相当、大胆なアイデアでしたし、我々がそんなことを考えていることすら、多くの人からは正気でないと思われたものです。それから考えると、コンピューターの進化は驚くに値します。この大変革において、マイクロソフトが果たしてきた役割を、誇りに思いましょう」
確かにコンピューターに関する技術革新には目を見張るものがありますし、いまや机の上のコンピューターどころか、スマートフォンやタブレットなど、モバイル機器が仕事、教育、趣味、買い物やコミュニケーションなど、シーンを選ばず日常生活に欠かせないものになってきています。
インターネット利用動向の調査を行う米ニールセン社(The Nielsen Company)のデータによると、18歳以上の米国人は1日平均11時間は電子メディア、デジタル機器を使用しています。睡眠時間が8時間の人だと、1日の活動時間帯は16時間…と考えると使用時間の長さに驚きます。でもスマートフォン、インターネット、テレビ、ラジオ、DVD、ゲームなどで過ごした時間を合計すると、納得できる人も多いかもしれません。
nielsen「THE TOTAL AUDIENCE REPORT DECEMBER 2014」
私たちの生活は、デジタル機器によって便利になる一方で、ライフスタイルそのものが大きく変わり、病気の流行にも影響が出ています。今回は、テクノロジーの時代の不健康リスクと、その問題を回避して生き抜くコツを見ていきましょう。