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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

医食同源? 遺伝子組み換えの“医薬品”と“食品”は何が違うのか

遺伝子組み換え作物の普及が農薬の使用を増やす悪循環の懸念も

 大西睦子

遺伝子組み換え技術の食品への応用

 遺伝子組み換え技術は、医療品だけではなく、食品にも応用されています。

 そもそも私たちは、人類にとってより有用な品種を作り出すため、古くから食物や家畜の「品種改良」を行ってきました。その古典的な方法が「交配」です。人為的に、同じ品種間でも違う性質の個体同士を、あるいは突然変異で発生した品種と掛け合わせることで、両者の長所を兼ね備えた新たな品種を作りだそうというものです。ただし、思い描いた通りの品種を交配によって作り出すには膨大な時間と労力が必要で、生物の「種の壁」は超えられず、限界がありました。そこに新たに出現した技術が、遺伝子組み換えなのです。

 まず先駆的な遺伝子組み換え植物として、たばこやペチュニアが品種改良されました。

 そして1994年、遺伝子組み換え食品として初めて市場に「日持ちのよいトマト」が出荷されました。普通のトマトは実を柔らかくするペクチン分解酵素の働きで、日持ちせず傷みやすいものです。それを、ペクチン分解酵素の遺伝子の働きを抑え、その酵素が働かないようにしたものが、日持ちのよいトマト。輸送や貯蔵の過程で鮮度が落ちる問題が解決され、いつも新鮮でおいしいトマトを食べたい、という夢が実現されたわけです。

 これは、遺伝子組み換え食品の商業化を予想させる出来事だったといえます。その後、大豆、トウモロコシ、菜の花、ジャガイモ、トマト、綿など新しい遺伝子組み換え食品(作物)に次々と広がりました。

遺伝子組み換え食品と医療品、何が違うの?

 こうして、同じ遺伝子組み換え技術を用いた医療品と食品ですが、一般消費者の受け入れ方は異なります。トゥルク大学(University of Turku)の研究者らは、ヨーロッパ人が一般に、遺伝子組み換え食品に対して批判的でありながら、遺伝子組み換え医療品には満足している理由に関して報告しました。

■参考文献
Helena Siipi and Veikko Launis : Opposition and Acceptance of GM-food and GM-medicine : The Open Ethics Journal, 2009, 3, 97-103


 まず、前提として

[1]遺伝子組み換え医療品は、ほかの医療品と同様に、即効性を期待するが、それに比べて、食品の場合、遺伝子組み換えという行為自体と、食品そのものに対する期待に距離感がある。遺伝子組み換えでない食品の選択肢があるので、抵抗を感じる場合もある
[2]食品と医薬品は、ともに私たちの健康と幸せに大きく影響する。どちらも、合理的に使用すれば、私たちの健康に利益をもたらし、過度または不適切な使用は有害となる可能性がある
[3]機能性食品など、食品と医薬品の間に境界があいまいな製品もある
 ということがあります。

 ヨーロッパで起きている、遺伝子組み換え論争の1つは、遺伝子組み換え作物が環境に与える影響です。

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