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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

調理の仕方で老化が進む!?

調理温度が高い食品に含まれる物質は認知症の原因に

 大西睦子

 食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
 「たるみの原因になる」など、4年ほど前からたびたび話題になる「糖化」。今回は老化の原因といわれる「終末糖化産物」(Advanced Glycation End Products:AGEs)について解説していきます。

加熱調理には安全性を高めるメリットだけではなく、かえって下げてしまう問題もある。(©Mr.Yongyut Khasawong-123RF)
加熱調理には安全性を高めるメリットだけではなく、かえって下げてしまう問題もある。(©Mr.Yongyut Khasawong-123RF)

 食品の調理法には、煮たり、揚げたり、蒸したり、直火で焼いたり、オーブンで加熱したり、電子レンジで温めたりと、さまざまな加熱方法があります。食品を加熱処理すると物理的変化、化学的変化が起こり、その結果、栄養や食感も変化します。

 食品に含まれる成分の化学反応を左右するのは、「熱の伝え方」です。それには基本的な調理法の違いが大きく関わっており、ひいては栄養価にも大きく差が出ます

[1]湿式加熱(水を加えて加熱):水が食材に熱を伝える
 煮る、蒸す、茹でるといった加熱方法です。調理温度は約100℃(水の沸点)。

[2]乾式加熱(水を奪って加熱):油が食材に熱を伝える
 焼く、揚げる、炒めるといった加熱方法です。調理温度は約150~300℃。

[3]電子レンジ(誘電加熱):マイクロ波(電磁波の一種)で食材を加熱する
 煮る、蒸す、焼くなどを遠赤外線よりも波長の長いマイクロ波と呼ばれる電磁波を利用し食材そのものを発熱させます。調理温度は100℃以上です。

そもそも、なぜ加熱するの?

 加熱調理には、第1に微生物を死滅させて食品の安全性を高める効果があります。これはみなさんご存じの通りです。

 第2に、食品の栄養素を消化しやすくする効果があります。例えば、変性したタンパク質は一般に天然のタンパク質よりもより消化されやすく、デンプンの糊化はアミラーゼによる加水分解を向上させます。さらに調理によって、香味化合物、抗酸化剤や着色剤などが形成されます。

 一方、調理によるデメリットもあります。食感が失われたり変色したり、化学反応によって特定の栄養素が失われたりします。また、望ましくない化合物が形成されることもあります。その1つが「終末糖化産物(Advanced Glycation End Products:AGEs)」です。

望ましくない化合物=終末糖化産物

 パンをトーストしたり、肉や魚を焼いたり、ジャガイモを揚げたりすると、褐色で良い香りのするおいしい食品に変わりますよね。この変化は、食品に含まれるアミノ酸と糖が高温で加熱して起こる「メイラード反応」によって起こります。高温(120℃以上)で加熱されるとメイラード反応を起こすと考えられています。

 悲しいことに、この一見魅力的なメイラード反応は、発がん性が疑われているアクリルアミドや老化の原因といわれるAGEs(エイジス)などを排出します。

 ではAGEsは食品中にどれくらい含まれているものなのでしょうか?

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