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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

調理の仕方で老化が進む!?

調理温度が高い食品に含まれる物質は認知症の原因に

 大西睦子

高AGEs食は認知症のリスクになる?

 これまでにAGEsは酸化ストレスや炎症を増加させて、
・がんのリスクとなる
・糖尿病や心血管疾患などの慢性疾患のリスクとなる
 ことが報告されています。

 また先日、フランスのポワティエ大学(University of Poitiers)と米国サンフランシスコにあるSunlight, Nutrition and Health研究所の研究者らは、AGEsがアルツハイマー病の重要なリスクになることを報告しました。

 彼らはマウントサイナイ医科大学の研究者らが調べた549食品のAGEsの含有量をもとに、これまでに報告された論文を調査。さらにさまざまな国の食事に含まれるAGEsの含有量を推定し、食事とアルツハイマー病の関係を調べました。

 まず1992年から1999年の「ワシントンハイツ・インウッドのコミュニティー加齢プロジェクト(Washington Heights-Inwood Community Aging Project:WHICAP)」といわれる疫学研究のデータを用いて、食事中のAGEsの摂取量を推定しました。WHICAPは地中海ダイエットがアルツハイマー病に与える影響を調査した研究です。加えてアルツハイマー病の罹患率について、3つ研究のデータ(1977~1993年の11カ国のデータ、1995~2005年の発展途上国7カ国のデータ、1985~2008年の日本のデータ)を調査しています。

 このWHICAPの疫学調査により、食事中のAGEsの摂取量を推定した結果、AGEsの摂取量が少ないとアルツハイマーの罹患率が下がることが分かりました。3つの研究のデータでは、食事におけるAGEsの推定値の高低が、アルツハイマー病の罹患率の傾向と一致していたのです。つまり、AGEsはアルツハイマー病の重要な危険因子であることが示されました。またこの報告では、日本人の1日あたりの平均AGEsの摂取量が示されています。
■1961年=3730KU
■1965年=5060KU
■1971年=6640KU
■1981年=9430KU
■1992年=10550KU
■2005年=11830KU
 なんといってもAGEs摂取の増加の原因は、肉の摂取と植物油の摂取の増加です。年々、米国の平均値に近づいていますね。

 AGEsが多く含まれる食品を多く摂取すると、アルツハイマー病や認知症を引き起こすことは、マウントサイナイ医科大学の研究者らによるマウスを使った動物実験でも証明されています。高AGEs食を摂取したマウスは、身体活動が乏しくなり、思考能力も低下し、最終的に認知機能が低くなったのです。また、アルツハイマー病に特徴的な、脳のβアミロイドタンパク質の蓄積も認められました。一方、低AGEs食を摂取したマウスは、こうした症状は示しませんでした。

■参考文献
PNAS(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)「Oral glycotoxins are a modifiable cause of dementia and the metabolic syndrome in mice and humans

 つまり、AGEsの低い食品は認知症のリスクを減らす可能性があるのです。

 同じ食材でも、調理法によって、AGEs含有量が大きく差があるのですから、これからは、食材選びだけでなく、調理法にも注意をしていきたいですね。

大西睦子(おおにし むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2015年4月3日付け記事からの転載です。

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