発がん物質を減らすなら、黒ビールのマリネでBBQ!
肉に火を通す前の下ごしらえでの活用が有効
大西睦子
その4:抗酸化能の分析結果
抗酸化能を分析した結果、黒ビールが68.0%と最も強く、続いてノンアルコールピルスナービール36.5%、ピルスナービール29.5%(ピルスナービールとノンアルコールピルスナービールには有意差なし)でした。
その5:ビールマリネとPAHの形成の分析結果
比較対照群とビールに漬けた肉には、8種類のPAH(PAH8)が含まれていました。分析の結果、黒ビールが53%と最も高いPAHの阻害効果を示し、続いてノンアルコールピルスナービール25%、ピルスナービール13%でした。
黒ビールの抗酸化化合物が、肉の表面に生じる酸化物質に対し相互作用を及ぼし、PAHの形成を抑制する可能性があります。
またこの研究とは別に、タマネギを加えた豚肉の炒め物(肉100gに対してタマネギ30g)、ニンニクを加えた豚肉の炒め物(肉100gに対してニンニク15g)で、PAH含有量の合計(PAH8のうち6)が、タマネギのほうは平均60%、ニンニクのほうは平均54%、減少したことも報告されています。
Science Direct「HPLC-fluorescence analysis of polycyclic aromatic hydrocarbons (PAHs) in pork meat and its gravy fried without additives and in the presence of onion and garlic」
黒ビールのマリネは風味が良くなるだけではなく、有害物質も減らすことができます。これからバーベキューをやるときはぜひ、火を通す前に黒ビールを使って、肉をマリネしてみてください! その際にはタマネギやニンニクを一緒に漬け込んだり、工夫して調理してみてくださいね。
黒ビールの抗酸化作用のメカニズムに関しては、今後さらに研究が進められると思います。ただ、ビールを選ぶときには、なるべく添加物の少ない、シンプルな材料のものを選びましょう。そして最後に。飲み過ぎに注意ですよ!
医学博士
