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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

摂食障害や身体的コンプレックスは家族そろっての食事で減る

経済力の差により家族での食事の頻度が異なる

 大西睦子

粗食、食事中のマナー、食べ物への感謝の気持ちを代々伝える

 母親たちが子どもに食べさせたいのは、米を中心とした一汁三菜、肉より魚の多い昔ながらの食事で、特に、地元の旬の食材を活かしたシンプルな“粗食”を良しとしていました。伝統的な和食こそ健康食と考え、文化的アイデンティティーを見出し、プライドを持っていることも分かりました。

 料理の内容のみならず食文化も母親・父親の両親から代々受け継いでいくことが重視されていました。子どもたちは、食事中は食事に集中し、テレビを見ずに食事と会話を楽しむ、姿勢良く座る、途中で立ち歩かない、肘をつかないといったテーブルマナーや、食べ物あるいは作ってくれた人への「いただきます」という感謝の気持ち、お米など食べ物を残さないことを教わります。そうした食事中のしつけを通じて子どもたちの社会性を伸ばすにあたっては、祖父母と食卓を囲むことも重要と考えられていました。

 母親たちは、自分や夫の両親からの情報を最も信頼し、家庭菜園による新鮮な野菜・米の提供、食事の準備、子どもたちへの食材教育、共生といった実質的な部分でも、家族のサポートを重視し、感謝していました。また、自分や夫の両親が夕食やおやつの用意をしてくれるおかげで、子どもたちは加工食品でなく手作りの料理を口にでき、ファストフードやスナック菓子ではなく、大学芋などのおやつを食べられるとも答えています。

五感をフルに働かせて心から堪能する「マインドフル・イーティング」ができている

 一方、自分や夫の両親と離れて暮らす核家族家庭の母親たちは、近所の仲間と新鮮な素材の情報を共有し合うなど、地元コミュニティーのサポートを活用していました。人気のスーパーマーケットには地元野菜コーナーも設置されているといいます。

 保育園・幼稚園の給食も、食育に貢献していると認識されています。子どもが新しい食べ物に挑戦する機会を与えてくれ、加えて子ども同士が影響を与え合うことも、食習慣を形成する重要な要素だとしています。

 母親たちからは食品の栄養価やヘルシーさについてのコメントは少なく、研究者らは、食育においては社会性の育成や食への感謝といった社会・文化的価値観を反映した食卓マナーが重視されていると考察しています。

 これは、欧米の「マインドフル・イーティング」の考え方にも通じるところがあります。マインドフル・イーティングとは、食べ物に正面から向き合い、五感をフルに働かせて心から堪能することです。最近の研究では、マインドフル・イーティングの実践が、肥満の治療や予防につながると報告されています。



 今日の日本で昔ながらの食育を徹底するのは大変なことです。特に都市部では、大家族でテーブルを囲む機会は多くありません。それでも、お子さんと心を通わせながら感謝とともに食事をいただく姿勢を、どうか忘れないでくださいね。

大西睦子(おおにし むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2015年3月17日付け記事からの転載です。

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