カフェインは子どものカラダに良い? 悪い?
子どものカフェイン摂取を米国の専門家が懸念
大西睦子
国によって違う、子どものカフェインの摂取量制限
そんな中、子どものカフェイン摂取量に関するリスク評価が各国で検討されています。
【1】米国
FDAは健常な成人の最大カフェイン摂取量を1日400mg(コーヒー4、5杯)まで、と設定していますが、子どもの摂取量については設定していません。
ただし、FDAは子どもや10代の若者の健康にカフェインが影響することを懸念し、「FDAや食品産業は国民の健康を保護し、社会規範を尊重する必要があり、子どもや10代の若者にカフェインなどの刺激物を販売すべきではない」と警告しています。また、米国小児科学会は、子どもや10代の若者のカフェイン摂取に反対の立場を示し、専門家は1日100mgあるいは、2.5mg/体重kg未満にすべきとしています。
American Academy of Pediatrics「Health Effects of Energy Drinks on Children, Adolescents, and Young Adults」
U.S. Food and Drug Administration「FDA to Investigate Added Caffeine」
【2】カナダ
カナダ保健省は、子どもの体重や年齢によって、カフェインの摂取量を定めています。
4~6歳:1日45mgまで(コーラ1缶=355ml分)
7~9歳:1日62.5mgまで(コーラ1.5缶分)
10~12歳:1日85mgまで(コーラ2缶分)
13歳以上:2.5mg/体重kgまで
Healthy Canadians「Health Canada Reminds Canadians to Manage Their Caffeine Consumption」
【3】欧州
欧州食品安全機関(EFSA)は、健康な成人1日当たり400mgの習慣的なカフェイン摂取、1回量3mg/体重kgのカフェイン摂取量なら安全上の懸念はないとし、子どもや10代の若者は情報が不十分なものの、1回量3mg/体重kgを上限としています。
European Food Safety Authority「Scientific Opinion on the safety of caffeine」
【4】日本
日本では、厚生労働省は基準値を設定していませんが、内閣府食品安全委員会は2011年に公開した食品中のカフェインについてのファクトシートで、「カフェインを含む食品については、自ら行う評価の案件としては見送るが、カフェインの子どもへの影響を懸念する意見があることから、情報収集を行い、リスクに関する情報を提供することが重要である」としています。
食品安全委員会「食品中のカフェイン」
米国の子どもの多くが、夜遅くまで勉強をしたり、ゲームをしたり、ソーシャルメディアにハマったりして睡眠不足になり、その眠気を払い、エネルギーを高めるために、コーヒーやエナジードリンクを多く摂取するようになっているといいます。おそらく日本でも同様の現象が起きているのではないでしょうか?
もちろん摂取の際の注意点を理解していれば、良い影響が得られることは、以前の記事でもお伝えしました(「コーヒーは結局、カラダに良い? 悪い?」「エナジードリンクを飲む前に、知っておくべき7カ条」)。とはいえ子どもがエネルギーを高めるためには、カフェインを利用するより、しっかり眠り、バランスの良い食事をとり、体を動かすことが何より大切だと思います。
医学博士

