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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

ダイエットと運動、どっちから始めるのがいいの?

医学論文で考える自分改造計画

 大西睦子

自分改造計画その1:減量する!

 手っ取り早く改造できるのは見た目だ。そう思う人は多いでしょう。そのために「運動して短期間で減量したい!」と思っていませんか? ところがインディアナ大学医学部のアーロン・キャロル教授がニューヨークタイムズ紙で示したのは、「減量には、運動よりダイエットの方がはるかに重要」だということでした。

 運動で消費されるカロリーは考えているよりはるかに少ないものです。例えば30分間のジョギングや水泳で消費されるカロリーは約350kcalです。週に2回運動するより、例えば糖入り炭酸飲料(例えばコーラ500mlは約225kcal)を毎日摂取していたところを週に3回断念すれば、ほぼ同じ分のカロリーを減らせます。実際、米国人全体の身体活動は高まっているというデータがありますが、肥満は相変わらず増加していて、アスリートの肥満も問題になっているほどなのです。

 アーロン・キャロル教授は、同紙において、以下の研究を紹介しています。

 まず子どもの身体活動と脂肪量との関係を調査した2011年の英国の報告によると、「子どもが活発であることが、子どもが不健康な体重ではないことを決める鍵ではない」ことが示されています。

■参考文献
US National Library of Medicine National Institutes of Health「Objectively measured physical activity and fat mass in children: a bias-adjusted meta-analysis of prospective studies.

 さらに大人を対象にした研究でも、「活発な人は、座りがちな生活を送っている人よりも余分な体重が増えにくい」ということを証明することは難しいのです。

 実際、「運動がどのくらい体重管理に影響するのか」という疑問に答えるためには、セロトニンやレプチンなどの「食欲を抑えるホルモン」や食欲を増やす働きのあるグレリンなどの「様々なホルモンの関与」を考慮しなければなりません。ところが、ウィスコンシン大学マディソン校の研究者らによると、ホルモンの総合的な影響は、完全には分かっていないのです。

■参考文献
US National Library of Medicine National Institutes of Health「Physical activity and weight control: conflicting findings.

長期間運動をしていても代謝が活発になるわけではない!?

 さらに、キャロル教授は、長期にわたって運動をすると、代謝が活発になることを否定しています。体重が減ると、多くの人は代謝が低くなります。驚くかもしれませんが、運動している人も運動していない人も、ダイエット中は安静時の代謝率が著しく低下しています。これが、ダイエット開始時は減量が簡単でも、時間がたつとだんだん難しくなってくる理由です。

 ただし、運動は何の役割も果たさないということではありません。ダイエットに運動を追加すると、より効果的であることを示す多くの研究があります。ブラウン大学のレナ・ウィング博士は、1999年に、それまでの鍵となる論文を解析したところ、わずかでありますが、減量のための運動に効果があることを示しました。

■参考文献
US National Library of Medicine National Institutes of Health「Physical activity in the treatment of the adulthood overweight and obesity: current evidence and research issues.

 運動には減量という目的を軽く超えるような、様々な利益があるのです。これについては、後述しましょう。

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