日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ  > ダイエットと運動、どっちから始めるのがいいの?  > 5ページ目
印刷

医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

ダイエットと運動、どっちから始めるのがいいの?

医学論文で考える自分改造計画

 大西睦子

自分改造計画その6:健康的な習慣を身に付けよう!

 ところで、習慣とは何でしょうか?

 辞書的に言えば習慣は、「長い間繰り返し行ううちに、そうするのが決まりのようになったこと。その国やその地方の人々の間で、普通に行われる物事のやり方、社会的なしきたり。心理学で、学習によって、後天的に獲得され、反復によって固定化された個人の行動様式」を示します。また、「American Journal of Psychology」では、心理学の観点から、習慣とは、「以前の繰り返しの精神的な経験を通じて獲得した、多かれ少なかれ、固定された考え方、喜び、感じ方のこと」と定義しています。

 新しい習慣は21日で身に付くという、「21日ルール」神話があります。「21日ルール」は、1960年に米国の形成外科医、マクスウェル・マルツ医師著の『Psycho-Cybernetics』に記されています。マルツ医師は、「通常、心の中でわかるまでの変化をもたらすためには、最短で約21日以上かかる。例えば、整形手術の後には、彼の新しい顔に慣れるまで、約21日かかる。腕や脚が切断された場合、幻肢(まだ腕や脚があるかのような感覚)は約21日間持続する。新しい家に住む人は、それが自分の家のように感じるまで、約3週間は住む必要がある」と説明していますが、実際、どうなのでしょうか? 21日間、ヘルシーなライフスタイルで過ごせば、その習慣が身に付くのでしょうか?

 ロンドン大学のフィリッパ・ラリー博士らは、平均27歳(21~45歳)の学生96人(男性30人、女性66人)を対象に84日間、1日1回新しい習慣を繰り返させ、どのように身に付くのかを調査しました。

■参考文献
Wiley Online Library「How are habits formed: Modelling habit formation in the real world

 結果は、習慣が身に付くまでの平均時間は66日で、参加者の間で18日から254日まで個人差がありました。当然、より複雑な行動が習慣になるには時間がかかりました。例えば、毎朝コップ1杯の水を飲むというようなシンプルなものに比べて、定期的な運動の習慣づけはかなり大変でした。 運動の習慣を選択した参加者は、 飲食に関する習慣を選択した参加者と比較して、身に付くまでに約1.5倍長くかかりました。また研究では、期間中、新たに始めた習慣を1日実践しなかった場合に、習慣の発展にどのような影響を与えるかも検討しました。もし、たった1日やらなかったことが致命的なら、健康的な習慣を身に付けることはとても難しいことになりますが、長期的には問題ありませんでした。

 日々の努力による変化は、とても小さく、大きな変化を得るには時間がかかります。

 ただし、例えば、「今日は一駅分歩いた」「夕食はヘルシーなものを食べた」「テレビはやめて、早めに寝た」といった行動の変化で、体型や考え方がすぐ変わるわけではなくても、「よく頑張った。いい1日だった!」と気分が良くなるはずです。そしてその習慣を、少なくとも2から3カ月は続けてみてください。かかる時間に個人差はあっても、まずご自分の中での小さな変化が、そのうちに他人にも分かるほどの大きな変化になりますよ。

大西睦子(おおにし むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2016年4月25日付け記事からの転載です。

先頭へ

前へ

5/5 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 早期発見、早期治療で治す「大腸がん」 適切な検査の受け方は?

    日本人のがんの中で、いまや罹患率1位となっている「大腸がん」。年間5万人以上が亡くなり、死亡率も肺がんに次いで高い。だがこのがんは、早期発見すれば治りやすいという特徴も持つ。本記事では、大腸がんの特徴や、早期発見のための検査の受け方、かかるリスクを下げる日常生活の心得などをまとめていく。

  • 放置は厳禁! 「脂肪肝」解消のコツ

    人間ドック受診者の3割以上が肝機能障害を指摘されるが、肝臓は「沈黙の臓器」だけあって、数値がちょっと悪くなったくらいでは症状は現れない。「とりあえず今は大丈夫だから…」と放置している人も多いかもしれないが、甘く見てはいけない。肝機能障害の主たる原因である「脂肪肝」は、悪性のタイプでは肝臓に炎症が起こり、肝臓の細胞が破壊され、やがて肝硬変や肝がんへと進んでいく。誰もが正しく知っておくべき「脂肪肝の新常識」をまとめた。

  • 肩の痛みから高血圧まで、「姿勢の崩れ」は様々な不調の原因に

    「姿勢」が、肩こりや腰痛の原因になることを知っている人は多いだろうが、足の痛みや高血圧、誤嚥性肺炎まで、全身の様々な不調・疾患の原因になることをご存じの方は少ないかもしれない。これまでに掲載した人気記事から、姿勢と様々な病気・不調との関係について知っておきたいことをコンパクトにまとめた。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.