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医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

断食って、ダイエットに効果はあるの?

代謝が低下して太りやすくなる恐れも

 大西睦子

断食は減量やデトックスの良い方法ではない!?

 最近は、米国でも断食、とくに断続的な断食(Intermittent Fasting)が流行しています。

 方法は一定の間隔をあけて断食を繰り返すというもので、16時間おき、1日中、1日おき、3日おき、1週間に1度、1週間に2度、2週間に1度、隔週など、間隔も継続期間はさまざまです。また断食の方法も、一切何も口にしない、水のみOK、フルーツジュースのみOK、野菜ジュースのみOKなど多様です。

 こうした断食は、減量やダイエットに効果があるのでしょうか? 逆に、断食は健康に害はないのでしょうか? 実際、人間は、古くから断食をしてきましたが、医学的には議論が続いています。英国、米国の専門家の情報を参考に、その問題を解説しましょう。

■参照サイト
National Health Service:NHS「Fasting: health risks

WebMD「Weight Loss & Diet Plans

 結論から言ってしまうと、多くの医療の専門家は、断食が減量の良い方法ではないと考えています。

 断食の魅力は短期間での減量です。ところが体の水分が一時的に減るだけで、すぐにリバウンドします。これ自体は実感している方も多いと思うのですが、さらに断食によって代謝が低下し、より太りやすくなる可能性があることが指摘されているのです。

 また、断食に加えて腸の浄化のために浣腸などを行うダイエットが一部で流行した時期もあったようですが、これは腸に存在する腸内細菌のバランスに悪影響をおよぼし、非常に危険です。以前のコラムでご紹介(「痩せない理由は腸内にあり? 腸内細菌叢を整える」)いたしましたが、腸内細菌のバランスは、私たちの健康に非常に重要なのです。

浄化やデトックスダイエットは何の科学的根拠もない

 米国でもデトックスダイエットは人気で、本やメディアで多く紹介されています。そんな状況の中、先日、ボストングローブの取材に対して、ハーバード大学のフランク・サック教授は、「減量に対する浄化やデトックスダイエットの効果について、何の科学的根拠もありません」と答えています。

■参考記事
THE BOSTON GLOBE「Why do cleanse detox diets remain so popular?

 また、断食のリスクとして、胸焼け、糖尿病の血糖コントロール不良、頭痛、脱水、便秘、ストレスなどがあります。断食ががんに効果があるという噂もありますが、米がん協会は、断食は科学的証拠に基づくと、ヒトのがん治療として支持されていないと結論づけています。

■参考サイト
American Cancer Society「Fasting

 さらに以下の方は(言うまでもないかもしれませんが)、断食による健康の害が非常に危険ですので、断食をするべきではありません。

 妊娠、授乳中の女性
 高齢者、子供
 栄養失調の方
 不整脈の既往歴のある方
 肝臓または腎臓障害のある方
 糖尿病の方
 慢性疾患の方

 これまでの研究結果を総合的に考えると、医師としての私の意見は、食物繊維やビタミン、ミネラルなどが豊富なバランスのいい食事、適度な運動を継続すれば、睡眠時間以外の断食は必要ないと思います。良い睡眠で、体内時計を整えることも、健康の維持に大切です。ただし、検査前や手術前などの医療行為のための絶食は例外ですので、専門家の指示に従ってくださいね。

大西睦子(おおにし・むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし・むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2014年6月27日付け記事からの転載です。

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