日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ  > 成績アップから問題行動抑止まで、「いっしょに夕食を食べること」がもたらすメリット  > 4ページ目
印刷

医学博士 大西睦子のそれって本当? 食・医療・健康のナゾ

成績アップから問題行動抑止まで、「いっしょに夕食を食べること」がもたらすメリット

日本では「父親とほぼ毎日食べる」幼児はわずか34.6%

 大西睦子

日本では「父親とほぼ毎日食べる」5歳児はわずか34.6%

 以上、5つの理由を見てきましたが、コロンビア大学嗜癖物質乱用国立センター(The National Center on Addiction and Substance Abuse at Columbia University:CASA)の研究者らの調査によると、2007年は米国の10代の若者の59%が、少なくとも週に5回、家族と夕食を共にしていました。1996年(初めて、家族との食事が、物質乱用との関係が示された年)の51%から増加傾向にあります。また米国の10代の若者の84%が、家族と共に食事をすることを望んでいます。

 日本ではどうでしょうか?

 実は内閣府の調査によると、20歳以上の日本人で、夕食を家族とほぼ毎日一緒に食べる人は56.5%でした。また、日本栄養士会全国社会福祉栄養士協議会の調査によると、5歳児では、夕食を「母親とほぼ毎日食べる」子どもは89.7%でしたが、「父親とほぼ毎日食べる」子どもは34.6%ととても低い数字が示されました

■参考文献
The National Center on Addiction and Substance Abuse at Columbia University 「The Importance of Family Dinners IV
農林水産省「『孤食』や『個食』が増えている

 たしかに、競争社会に生きる現代人は、仕事、勉強や交遊などに忙しく、「子どもと一緒に夕食を食べること」が難しくなってきています。しかも日本では長時間労働がたびたび問題になっています。ワシントンポストでのフィシェル教授の言葉は、そんな日本人へのメッセージとさえ思えます。

「ほとんどの先進国では、家族が一緒に田畑で作業をしたり、楽器を演奏したりする時間はありません。だからこそ、夕食は家族が顔をそろえ、お互いの身に起きていることを理解し合うための、最も信頼性の高い方法なのです。毎日一緒に食事をすることは、でこぼこ道(=子どもや若者の危険な行動)を走行するためのシートベルトのようなものです。

 ただし、夕食を共にすることが良い効果を発揮するかどうかは、家族の関係性にもよります。ただ黙って座って食事をしたり、両親が大声で怒鳴り合ったり、子どもを叱るだけだったりする夕食には、ポジティブな効果はありません。

 また、子どもと両親が互いの身に起きていることを共有するためには、夕食に1時間はかかると思います。でもそうしたじっくりとる夕食の時間が、食卓から家族が離れたときにも、強い絆を生むのです」

大西睦子(おおにし むつこ)
医学博士
大西睦子(おおにし むつこ) 東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。
日経トレンディネット2016年3月24日付け記事からの転載です。

先頭へ

前へ

4/4 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 加齢で進む胃の不調 機能性ディスペプシアと逆流性食道炎の原因と対策

    加齢により胃の機能が衰えると、さまざまな不調が起きる。ピロリ菌の除菌が進んで胃がんや胃潰瘍が減ってきた今、胃の病気の主役は、胃もたれや胃痛の症状を招く「機能性ディスペプシア」と、胸やけやげっぷが起きる「逆流性食道炎」の2つに移行しつつある。なぜ機能性ディスペプシアと逆流性食道炎は起きるのか、どのような治療が必要なのか、セルフケアで改善・予防できるのか。このテーマ別特集では、胃の不調の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.