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スゴイカラダ

あくびは何のためにするの?

あくびの起源は「性」に関係があった

 北村 昌陽=科学・医療ジャーナリスト

 有田さんによると、あくびが出やすいのは、覚醒と睡眠の境界から覚醒に向かうときだという。例えば朝のあくびは、体を睡眠から覚醒へ誘導する。夜のあくびは、眠いときに目を覚まそうと頑張っている姿といえる。

 「夜の運転中は、よくあくびが出るでしょう? あれは、寝てはいけないと思っているから、出るのです。だから、退屈な講義や会議であくびが出るのは、起きようとする気持ちの表れ。ほめるべき行動です」

 一方、ストレスなどで過度に緊張したときにも、あくびが出やすい。これは、緊張をゆるめることで覚醒を促す行動と考えられる。「昔の将棋の名人で、大事な一手を指す前に必ずあくびをする人がいました。あくびで頭がさえることを、体が知っていたのでしょうね」。

図2◎ あくびが出ると、カラダは「睡眠」から「覚醒」に向かう
あくびが出ると、カラダは「睡眠」から「覚醒」に向かう
[画像のクリックで拡大表示]

あくびの起源は性行動? ただのストレッチとは違う

 「もっとも、覚醒だけなら、あくびのマネをして手足を伸ばすだけでも、ある程度効果があるのですよ」。と有田さん。確かにそうだ。でもあくびの心地よさは、普通のストレッチとは違う。

 では、あくびって結局何なのだろう? と、有田さんはおもむろにこんな話を始めた。

 「室傍核からあくび指令を発するのはオキシトシン神経ですが、このとき同時に男性では勃起を誘導することがあります。つまり、性行動と関連がある神経なのです」

 え、性行動? またずいぶん話が飛躍したが、オキシトシンは女性の分娩時の子宮収縮を誘導するなど、生殖機能と関わりが深いホルモン。性行動と結びついていてもおかしくはない。

 「そう。あくびの起源は性行動と関連がある、というのが私の推論。ほら、サケの産卵で、雄と雌が身を寄せてかーっと口を開けますね。あの姿はあくびに似ていると思いませんか?」

 ほー、いわれてみればそう見えなくもない。あれが進化してあくびになったのか? だからストレッチより気持ちいいの? 真相は謎だけれど、興味深い。

 ちなみにあくびには、肺を広げて呼吸効率を高める作用もある。なるべく我慢しないほうが、体にいいのは確かでしょう。

(出典:『スゴイカラダ』日経BP社 2014年4月発行)

■変更履歴 本文中、「室膀核」を「室傍核」に修正しました。[2015/10/07 11:30]
北村 昌陽(きたむら まさひ)
科学・医療ジャーナリスト
北村 昌陽(きたむら まさひ) 1963年北海道生まれ。91年京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学。専攻は生物物理学。92年日経BP社入社。日経メディカル編集部を経て、2000年より日経ヘルス副編集長に就任。ダイエット、エクササイズ、メンタルヘルスなどの特集や連載を担当。2009年退社。現在、医療・健康ジャーナリストとして活躍している。著書に『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)がある。

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