赤ちゃんのレム睡眠は脳を育てている
「ところで、赤ちゃんの眠りは、大人よりずっとレム睡眠が多いのですよ」。井上さんはふと、こんな話を始めた。ほー、それはどういうこと?
大人の睡眠では、レム睡眠の割合は20~25%。だが新生児では睡眠時間の約半分がレム睡眠、胎児期までさかのぼると100%レム睡眠だという。
「このレム睡眠は、脳の神経回路を作っているのです」と井上さん。神経回路は、活動するほどつながりが強くなる。そこで胎児や新生児の頭の中では、神経をしっかり“敷設”するために脳幹が活発に活動する。これがレム睡眠の始まり。よく「寝る子は育つ」というけれど、レム睡眠は文字通り、赤ちゃんの脳を育てているのだ。
そして脳(特に大脳)が発達すると、「覚醒」という状態が生じる。すると今度は、覚醒によるオーバーヒートを修復するためにノンレム睡眠が増える─と、こんなふうにして、脳の成長とともに睡眠の中身も変化していくのだ。
へ~、睡眠は生涯にわたって私たちを守っているのか。やっぱり大切なんだなぁ。
(出典:『スゴイカラダ』日経BP社 2014年4月発行)
科学・医療ジャーナリスト

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