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スゴイカラダ

聴覚の老化は耳の中の「ハゲ」が原因!?

高音の聞こえにくさに年齢が出る

 北村 昌陽=科学・医療ジャーナリスト

チューブの中を伝わる波が中の“毛”を揺らす

 蝸牛は中空のチューブ状の器官で、引き伸ばすと長さ3cmほど。その一端がカタツムリのように巻き込まれている。中は3層に仕切られ、リンパ液で満たされている。

 鼓膜から耳小骨と伝わってきた振動が、管の中のリンパ液を揺らす。ちょうど、水を満たした洗面器の端をコツンとたたいたようなイメージだ。するとリンパ液の中に波が起こり、渦巻き状のチューブの中を、奥へ奥へと伝わっていく。

 チューブ内には、長さ5マイクロメートルほどの“毛”が生えた「有毛細胞」という細胞が、びっしりと並んでいる。波は、この微細な“毛”をサワサワと揺らすという。

 「このとき、音の高さ(音程)によって、強く揺れる“毛”の場所が違うんですよ」

 音の高さは、「波長」=波の長さの違いだ。低い音ほど波長が長く、高音は短い。「高音の波は波長が短いので、チューブの手前側にしか届かず、手前の“毛”だけを揺らします。一方、低音の波は波長が長いので、チューブの奥の“毛”まで揺らせるのです」

 有毛細胞は神経につながっており、どこの“毛”が揺れたかを脳に伝える。それをもとに、私たちは「あ、高い音!」「おっ、低音だ」などと感じる。実に物理的なやり方なのである。

 チューブに並ぶ有毛細胞は、神経とつながるもの(内有毛細胞)だけでも3000~4000個に上るという。これがいわば、蝸牛が設定した“音階”の数。こんなに細かいから、言葉のアクセントのような微妙な音程変化もわかるのだろう。

図2◎ チューブの中を伝わる振動がピークの場所で“毛”が震える
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