日経グッデイ

中野ジェームズ修一が熱血指導! 『ぽっこりお腹解消メカニズム』

「汗をかく=脂肪が落ちる」は勘違い!

ボクサーの減量とダイエットは全くの別物

 中野ジェームズ修一

「腹筋でお腹は凹むの?」「バランスボール、断食、サウナはダイエットに効くの?」……メタボが気になる中年男性の“ぽっこりお腹”を解消すべく、卓球の福原愛選手など日本を代表するトップアスリートの指導も行うパーソナルトレーナーの第一人者、中野ジェームズ修一氏が熱血指導する!

汗を流しても脂肪が減るわけではない(©Imagehit Limited | Exclusive Contributor/123RF.com)

 「寒い日はランニングをしても汗をかかないからダイエット効果がない」「お腹を凹ますためにジムでのトレーニング後にサウナでしっかり汗を流す」などと考えたことはありませんか?

 汗をかいたぶんだけ「脂肪が燃焼した」「お腹が凹む」と思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、かいた汗の量と脂肪燃焼量は比例関係にありません。つまり大量に汗をかいたからといって脂肪がたくさん燃焼したわけではなく、逆に汗をほとんどかかなかったからといって脂肪が燃焼していないわけでもないのです。

 ですので、脂肪を燃焼したい場合、「厚着でランニング」「サウナで汗をたっぷり出す」というのは効率的ではありません。もちろん汗をかくことは気持ちが良いことですし、ストレス解消にもなるでしょう。脂肪燃焼の効率を考えた場合、必ずしも汗を絞り出す必要はないのです。

 ボクサーが減量のために厚着をして走り込んだり、ジムの室温を上げて汗を出して体重を減らしていたりする姿をテレビなどで見て、「減量=汗を出す」と思われているのかもしれません。しかし、ボクサーの減量と、運動をしていない人がお腹を凹ますためのダイエットはそもそも似て非なるものなのです。

 計量を目前に控えているボクサーの場合、日々の節制やトレーニングですでに体脂肪が落ちた状態からさらに減量しなくてはならないため、水分を抜いて一時的に体重を減らしているのです。サウナスーツのようなものを着ているのは脂肪を燃焼させるのではなく、汗を流して体内の水分を抜くのが目的。一般の方が水分を体内から出して一時的に体重を減少させても、意味がありません。

体温が上がりすぎると脂肪燃焼の妨げに

 人間の体の中には「リパーゼ」という脂肪を燃焼させる酵素があります。リパーゼの働きは体温が通常の状態よりも1~2度高いときに最も活性化するといわれています。たくさん着込んで運動をすると体温が上がりすぎてしまい、リパーゼの働きが悪くなって脂肪燃焼に適さない状態になってしまうわけです。

 サウナに入ることも同様で、脂肪燃焼の効率だけを考えると効果的ではありません。運動中は速乾性・通気性に優れたウエアを着て体温をコントロールし、暑くなったら上着を脱ぐ、といったことが重要です。

 また、運動時に水分をしっかりと補給することもポイント。脱水状態になってしまうと、脂肪の代謝効率は極端に低下してしまいます。注意したいのが、「のどが乾いた」と感じたときにはすでに脱水症状が起きているということ。のどの乾きを感じる前に水分を補給することが大切なので、運動前、運動中、そして運動後とマメに水分をとるようにして下さい。それから、冷たい飲み物はオーバーヒート状態にある体をクールダウンする効果もありますので、暑い時期は特に重要なことだといえるでしょう。

 補給する水分は水道水やミネラルウォーターで問題ないのですが、かなりの量の汗をかいた場合は、水だけを大量に摂取すると血中の電解質のバランスが悪くなります。電解質のバランスが悪くなると、体がけいれんを起こしやすくなったり、ひどくなると意識が朦朧(もうろう)としたりすることがあります。

 そこで活用したいのが、市販のスポーツドリンク。スポーツドリンクなら汗と一緒に体外に出されたミネラル分も補給でき、血中の電解質のバランスを整えることができます。

 「スポーツドリンクは糖分が多いから太りやすい」と思っている方もいらっしゃると思いますが、1日に何十リットルも飲むわけではないですし、心配するほどカロリーも高くありません。また、一般的なスポーツドリンクの糖度は8~12%程度なのですが、これは水分の吸収率が最も良いとされている数値。ある程度糖質が入っていないと、体内に水分が吸収されにくいのです。逆に糖度が高すぎても吸収率は下がります。例えば糖度が20~30%程度あるジュース類は糖度が高すぎ、水分の補給には向きません。

 仕事上、マラソンランナーに話を聞く機会が仕事上多いのですが、スペシャルドリンクの中身は普段飲み慣れているスポーツドリンクが多いようです。甘みが気になる場合はスポーツドリンクに水を混ぜる方もいらっしゃいます。飲みすぎはよくないですが、手軽に調達でき、バランス良くミネラルが入っているスポーツドリンクは便利なアイテムといえるでしょう。

「運動の後のビール」は危険!

 脂肪燃焼からは少し話がそれるのですが、水分補給の話に関連してアルコールの話をしたいと思います。

 ランニング後、トレーニング後のビールを楽しみにしている方も多いことでしょう。運動直後にビールをゴクゴクと飲みたい気持ちは分かるのですが、それは危険な行為なのです。

 汗をかくと、当然のことながら血中の水分量が減ってしまいます。血中の水分量が減少すると、血栓ができやすい状態になります。アルコールを飲むと血行が良くなるのですが、この血栓ができやすい状態で血行が良くなると、できた血栓が詰まる危険性が高まってしまうのです。

 ビールを飲むとのどの渇きが解消された気がするのですが、血中の水分量を上げるのにはあまり役立ちません。どうしてもランニングやトレーニングの後にビールを飲みたいという方は、ビールを飲む前にコップ1杯でも水やスポーツドリンクを飲んでください。ビールを飲むときに水やスポーツドリンクを間に挟んで飲むのも効果的です。

 適度に水分を補給しながらトレーニングを行い、お腹を凹ませましょう!

(まとめ:神津文人)

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定ヘルスフィットネススペシャリスト
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち) 卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「なぜいくら腹筋をしても腹が凹まないのか」(幻冬舎新書)など多数。
日経トレンディネット2014年4月16日付け記事からの転載です。