日経グッデイ

中野ジェームズ修一が熱血指導! 『ぽっこりお腹解消メカニズム』

お父さん注目! 子供の前で「懸垂」ができない意外な理由とは?

握力、肩回り・腕回りの筋力、引きつける動作の強化がカギ

 中野ジェームズ修一

「腹筋でお腹は凹むの?」「バランスボール、断食、サウナはダイエットに効くの?」……メタボが気になる中年男性の“ぽっこりお腹”を解消すべく、卓球の福原愛選手など日本を代表するトップアスリートの個人指導を行うパーソナルトレーナーの第一人者、中野ジェームズ修一氏が熱血指導する!

運動していても懸垂ができなくなったのは何故?(©Maxim Safronov/123RF.com)

 「子供と公園で遊んでいるときに鉄棒で懸垂をやってみたら、若いころはできたのに全くできなくなっていた」という話をよく聞きます。みなさんもそんな経験、ありますでしょうか。

 しかし、どうしてできなくなってしまったのでしょう。みなさんが思い浮かべるのは、体重が増えたことではないでしょうか。学生のころと比べたら、随分と体重が増えてしまっている方も多いと思います。

 もちろんそれも原因のひとつではあるのですが、実はそれだけではありません。日常的に運動をされている方、昔と比べて体重が増えていない方でも、懸垂ができなくなった方はいらっしゃるはず。では、どんな原因が考えられるのでしょうか。

原因(1)握力が弱っている

 まず大きな原因として挙げられるのが、「握力が弱くなってしまっている」ことです。普段ウォーキングやランニングなどをされていても、握力をまめにトレーニングされている方はそれほど多くないはずです。知らず知らずのうちに、加齢とともに握力が衰えている方は少なくありません。

 懸垂攻略への第一歩として、握力のトレーニングから始めてみましょう。握力はスポーツショップなどで売られているハンドグリッパーを使って、手軽にトレーニングできます。

原因(2)腕回りと肩回りの筋肉が足りない

 握力に続いてトレーニングしてほしいのが、腕回りと肩回りの筋肉。この辺りの筋力の低下も、懸垂ができない原因となります。腕回り、肩回りの筋肉を強化するのに効果的なのは、みなさんご存知の「プッシュアップ(腕立て伏せ)」です。

 少し話がそれるのですが、せっかくなのでプッシュアップについて話をしたいと思います。

 プッシュアップは上半身を鍛えるのにとても有効なトレーニング。特に男性は大胸筋、肩回り、腕回りを鍛えてカッコいい上半身を作りたいという理由でチャレンジしたことがある方も多いのではないでしょうか。

 しかし、肩回り、腕回りに比べると、胸の筋肉をプッシュアップで鍛えられている人はあまりいません。「毎日プッシュアップをしています!」という方でも、腕や肩にはしっかりと筋肉がついているのに胸に筋肉がついていない方がいます。これは「胸に効かせるフォームでプッシュアップをしていない」のが原因です。

 プッシュアップで胸の筋肉をしっかりとつけるためのコツを紹介しましょう。まず、手は胸の延長線上、具体的に言うと乳首のラインの延長線上に手のひらがくるくらいに置いてください。普段みなさんがやられているプッシュアップよりも手の位置が頭からだいぶ離れているのではないでしょうか。肩回り、腕回りを鍛える場合は手の位置が高くてよいのですが、胸を鍛える場合はここまで下げる必要があります。左右の手の間隔は肩幅よりも少し広めにとりましょう。

 そしてプッシュアップをするときは自分の体を持ち上げるのではなく、床を下に押し下げるようなイメージで。さらにちょっとしたテクニックがあります。床を押すときに手のひら全体で押すのではなく、手のひらの底の部分と、親指、人差し指に力を入れると胸の筋肉が意識しやすくなります。

 これらをしっかりと意識してゆっくり行うと、10~15回くらいで限界がくると思います(ラクにできる場合はやり方は間違っているかもしれません)。この10~15回を3~4セット行ってください。これを続けていれば腕回りや肩回りだけでなく大胸筋も鍛えられ、満足のいく上半身を手に入れることができるはずです。

原因(3)引き付ける力が足りない

 話を懸垂に戻しましょう。

 再び懸垂ができるようになるために、握力のトレーニング、プッシュアップによる肩回り、腕回りのトレーニングに加えてやっていただきたいのが、「引きつける動作」です。

 日常生活の中で何かを押す動作や持ち上げる動作というのはそこそこあるのですが、引きつける動作というのはめったにありません。ですので、引きつけるための筋力は低下しやすいものなのです。この引きつける動作ができないと、鉄棒にぶら下がったときに自分の体重を引き上げることができません。

 引きつける動作を強化するために、まずは足を地面につけた状態で低い鉄棒に体を斜めにしてぶら下がり、引きつける動作を繰り返してください。足を鉄棒に近い場所に置けば強度が低くなりますので、近い場所から始めて段々と足を鉄棒から遠くにしていくとよいでしょう。

 握力、肩回り・腕回りの筋力、そして引きつける動作。この3つをアップさせることで、懸垂ができるようになっているはずです。

 実は懸垂ほど効率よく背中の筋肉を鍛えられる運動はなかなかありません。ジムなどに通っている方であれば専用のトレーニングマシンを使用することができますが、そうでない方にとっては背筋を鍛えることはかなり難しいことです。しかし、姿勢の維持に背筋力は欠かすことができないもの。

 また背筋は大きな筋肉群なので、トレーニングをすれば効率よく筋肉量を増やすことができます。ダイエットをしたいという方にも、背筋のトレーニングである懸垂はとてもおすすめです。

 コストがかからず比較的身近な場所ででき、効果的な背筋のトレーニングである懸垂。日常のトレーニングに取り入れてはいかがでしょうか。

(まとめ:神津文人)

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定ヘルスフィットネススペシャリスト
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん 卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「なぜいくら腹筋をしても腹が凹まないのか」(幻冬舎新書)など多数。
日経トレンディネット2015年2月2日付け記事からの転載です。