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中野ジェームズ修一が熱血指導! 『ぽっこりお腹解消メカニズム』

「通販グッズ」で本当にお腹が凹むのか?

“ラクラク”を強調するものは、「筋肉に負荷がかからない」ことも

 中野ジェームズ修一

「腹筋でお腹は凹むの?」「バランスボール、断食、サウナはダイエットに効くの?」……メタボが気になる中年男性の“ぽっこりお腹”を解消すべく、卓球の福原愛選手など日本を代表するトップアスリートの個人指導を行うパーソナルトレーナーの第一人者、中野ジェームズ修一氏が熱血指導する!

 テレビや雑誌、新聞などを見ていると、お腹を凹ますための通販グッズのCMや広告が出てきます。うたい文句を聞くとどれも効果的なように見えますが、内臓脂肪を燃焼させてお腹を凹ますことを考えた場合、実際に効果的なものもあれば、そうでないものがあるのも事実です。

 お腹を凹ますための通販グッズに興味があるということは、「脂肪を燃やしたい」「お腹を引き締めたい」というモチベーションを持っているということ。せっかくのモチベーションを無駄にしないためにも、効果的なグッズを利用して目標を実現してほしいと思います。努力したのに、方向を間違えたために効果が出ないのはとてももったいないことですから。

深夜テレビをつけると、「高い効果が期待できる」ことをPRした健康・ダイエット関連の商品が紹介されている。「内臓脂肪を燃焼させてお腹を凹ますことを考えた場合、実際に効果的なものもあれば、そうでないものがあるのも事実です」。(©belchonock/123RF.com )
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「消費カロリーが増えるかどうか」がポイント

 この連載でも触れていることですが、腹筋運動だけではお腹は凹みません。お腹の脂肪を落としたいのであれば、摂取カロリーを減らし、消費カロリーを増やすことが重要になります。摂取カロリーに関しては食事によるコントロールがメインなので、お腹を凹ます通販グッズは、消費カロリーを増やす手助けをしてくれるものでなければなりません。

 消費カロリーを増やすために最も有効なのは、ウォーキングやランニングといった有酸素運動です。ですので、ウォーキングやランニングへのモチベーションを上げてくれるもの、手助けしてくれるものは、効果のある通販グッズといえるでしょう。通気性・吸汗速乾性に優れたオシャレなウエアや、走った距離や速度を計測できる時計などが該当します。

 一方、有酸素運動の効果をアップさせてくれそうなアイテムで、実はこれに当てはまらないのが、サウナスーツや発汗を促すための腹巻きのようなもの。以前、「 汗をかく=脂肪が落ちるは勘違い! ボクサーの減量とダイエットは全く別物 」でも書きましたが、かいた汗の量と脂肪燃焼量は比例しません。汗をかくことはストレス解消にはなるかもしれませんが、脂肪燃焼のことを考えた場合、サウナスーツや腹巻きは効果的なものとはいえないのです。

ぶらさがり健康器が効果的!?

  少し女性寄りの商品かもしれませんが、ダンス系エクササイズDVDは消費カロリーを増やすという意味で効果のある通販グッズといえるでしょう。しっかりと体を動かし、有酸素運動をある程度の時間続けることになるので、結果的にお腹が凹むことにつながります。

 有酸素運動のツールとしては縄跳びなどもありますが、お腹が出ていて体重が重い男性にはあまりおすすめできません。体重があると着地するときのインパクトが大きく、膝や足首、足の裏などを傷めてしまう可能性が高いからです。

 それから、筋肉量を増やせる通販グッズでもお腹を凹ますことが可能です。筋肉量が増えれば基礎代謝量が上がりやすくなりますし、有酸素運動もより効果的なものになるからです。筋肉量を増やすためには、下半身や胸、背中などの大筋群を鍛えることが重要です。ということは、それらの部位を鍛えられる通販グッズはお腹を凹ますのに有効なものとなるわけです。

 昔からあって、みなさんがよく知っているアイテムだと「プッシュアップスタンド」がそれに当たるでしょう。胸を中心に腕周りの筋肉も鍛えられるので、筋肉量のアップが見込めます。もしかしたら商品のコピーには「お腹を凹ます」とは書いていないかもしれませんが、お腹を凹ますのに有効な通販グッズのひとつといえます。

6つに割れた腹筋と、厚い胸板は男性らしさを象徴する憧れの体型だが…。「メタボ腹をへこませるために腹筋運動を行っても、残念ながら、効果はほとんど期待できません」。(©Shao-Chun Wang/123RF.com )
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 ぶら下がり健康器も筋肉量を増やすことが可能なグッズ。もちろん、ぶら下がっているだけだと効果は小さいのですが、ぶら下がり健康器で懸垂をすることで背中の筋肉量を増やすことができます。背中の筋肉は大きいので、ここを鍛えられれば代謝しやすい体になり、内臓脂肪も減ってお腹を凹ますのに有効でしょう。

 それでは、下半身を鍛えられる通販グッズはどんなものがあるでしょうか。これもシンプルで昔からあるものですが、ダンベルやバーベルです。これらを使ってスクワットをすれば下半身の筋肉量を確実に増やすことができます。あとはチューブもうまく使えば、下半身や背中、胸の筋肉を鍛えられるでしょう。

運動の負荷の目安は「20回」

 胸や背中、下半身といった大筋群のトレーニングができる通販グッズを挙げてきましたが、トレーニングをより効果の高いものにするための「負荷」についてのお話をしておきます。

 負荷の設定は「その運動が20回できるかできないかくらい」を目安としてください。30回、40回と平気でできるような負荷だと、効率良く筋肉を作ることができません。その動作を20回続けることが簡単になってしまったら、より負荷の高いものに切り替えて常に20回が限界になるように負荷を設定していただければOKです。

 トレーニングには「過負荷の原則」というものがあり、同じ負荷でトレーニングを行っていると体がその負荷に適応してしまい、トレーニング効果が薄れてしまうからです。

 通販グッズの中には“ラクラク”とうたっているものがありますが、ラクにできるということは、筋肉に負荷がかかっていないということ。負荷がかかっていないということは、その運動をいくらやっても筋肉量は増えません。日常的にかかっている負荷よりも強い刺激を与え、どちらかといえば“きつい”と感じなければ筋肉量を増やすことはできないので、“ラクラク”とうたっているものは疑う必要があるでしょう。

腹筋を鍛えるグッズはどう使う?

 では、「お腹を凹ます」「アスリートのような腹筋が手に入る」などと紹介されていることが多い腹筋グッズでお腹を凹ますことはできるのでしょうか。

 腹筋運動は有酸素運動ではありませんし、腹筋自体は大きな筋肉ではないので、ここを鍛えても大幅な筋肉量アップは見込めません。ということは、腹筋を鍛えるような通販グッズはどんな形のものであれ、お腹を凹ますのに効果的であるとはいえないのです。電気を流しても、お腹を捻っても、腰を回しても、お腹の脂肪を震わせても、内臓脂肪が落ちてお腹が凹むことはないので、注意してください。

 もちろん腹筋を鍛える通販グッズに意味がないわけではありません。シットアップベンチなどを使って腹筋運動をすれば、きれいに割れた腹筋を手に入れられるかもしれません。しかし腹筋を割ることが目的ではなく、あくまでも内臓脂肪を燃焼させてお腹を凹ますことを目的とした場合、効果的ではないのです。腹筋を鍛える通販グッズは、有酸素運動と大筋群のトレーニングである程度お腹が凹んできたところで取り入れると良いでしょう。

(取材/神津文人)

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定ヘルスフィットネススペシャリスト
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち) 卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「なぜいくら腹筋をしても腹が凹まないのか」(幻冬舎新書)など多数。
日経トレンディネット2014年10月09日付け記事からの転載です。
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