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中野ジェームズ修一が熱血指導! 『ぽっこりお腹解消メカニズム』

「8時間睡眠」に根拠なし!? それより大事な“眠りの心得”

睡眠の長さより質の向上が大切

 中野ジェームズ修一

「腹筋でお腹は凹むの?」「バランスボール、断食、サウナはダイエットに効くの?」……メタボが気になる中年男性の“ぽっこりお腹”を解消すべく、日本を代表するトップアスリートの個人指導も行う、パーソナルトレーナーの第一人者、中野ジェームズ修一氏が熱血指導する!

運動後の疲れを早くとるには睡眠が何より大切。(©PaylessImages-123RF)

 パーソナルトレーナーの仕事をしていると、「どうしたら運動後の疲れが早くとれますか?」と聞かれることが多々あります。

 みなさん、何か裏技のようなものを期待されているようなのですが、疲労回復のために最も重要なのは「睡眠」。しっかり眠ること、そして睡眠の質を向上させることです。逆を言えば、運動後にストレッチを一生懸命頑張っても、睡眠の質が悪いとあまり疲れはとれません

 こうアドバイスすると、「何時間寝ればいいのでしょうか?」という質問を必ずといっていいほど受けます。忙しい日々を送っている方にとっては、特に気になるポイントなのでしょう。しかし、効率的な疲労回復のために睡眠を何時間とらなければいけないかということ示す科学的な根拠はありません。いろいろな研究機関や研究者からさまざまな説が発表されてはいますが、個人差が大きいというのが現時点での正しい認識だと思います。

 「4時間で十分」という人もいれば、「8時間でも足りない」という人もいるわけです。私自身は5~6時間程度がちょうどいいと感じていて、それ以上は逆に体がだるくなってしまいます。しかし、私が最も気になっているのは、なぜか「良い睡眠=8時間」説が広く浸透していて、「8時間寝ないと!」と強迫観念のようになっている人がいることです。

 「8時間寝なければならない」という思い込みがあると、緊張してしまって睡眠の質が低下する恐れがあります。翌朝早く起きなければいけないときに、「早く寝なければ」と思い過ぎてなかなか寝付けなかった経験は、みなさんもあるのではないでしょうか。人間の体は焦りや緊張の影響を受けやすいので、不必要なプレッシャーはできるだけ回避する必要があるのです。

運動後の疲れを早く取るには?
質の良い睡眠をしっかり取る(運動後のストレッチより大切)
8時間眠れなくても過剰に気にしない
なかなか寝付けない時は、ベッドや布団の上でストレッチを行う
就寝と夕食の時間をなるべく離す
寝る前のアルコールを控える

「眠れなくても大丈夫」くらいの気持ちが大切

 「8時間寝ないと体が休まらない」ではなく、「眠れなくても大丈夫」くらいの気持ちでいることが大切です。睡眠が8時間必要というのは都市伝説のようなものですし、1日くらい睡眠時間が短くても体のパフォーマンスが極端に落ちることはありません。

 睡眠が肉体的な疲労をとるのに重要だと言ったことと矛盾しているように感じる方もいるかもしれませんが、あまり眠れなかった日が1日あったくらいでどうにかなってしまうほど人間の体は柔ではないというのも事実です。

 アスリートに帯同していると、選手が大きな大会の前日などに眠れなかったケースはたくさんあります。しかし、よく眠れなかったという選手が、良い成績を記録してメダルをとって帰ってきたりもするものなのです。

 布団に入ったあと、どうしても仕事のことを考えてしまうという方もいるかもしれません。これもやはり緊張につながり、睡眠の質の低下を招いてしまいます。これを少しでも防ぐためには、ベッドや布団の上でストレッチを行うのがおすすめです。体を伸ばすことで緊張がほぐれるという効果もありますし、ストレッチの時間や回数を数えることに意識が向かい、余計なことを考えなくなるというメリットもあります。

夕食の時間と内容に気をつけることも重要

 睡眠の質を高めるためには、夕食の時間と内容に気をつけることも重要です。

 食べものを消化するスピードは個人差があるのであくまで目安の数字ですが、ステーキや天ぷらなど脂質が多い食品は消化するのに4時間以上かかるといわれています。ちなみに焼き魚やイモ、ゆで卵は3~4時間、ご飯、トースト、うどんは2時間程度とされています。

 消化に4時間以上かかるものをこれから寝るというタイミングで食べてしまうと、睡眠中のほとんどの間、胃腸が食べものを消化しようと働き続けていることになります。これではどうしても体が休まりません。

 仕事などで帰りが遅くなり、お腹が空いたので近所のコンビニで食べものを買って帰り、食べたらそのままベッドに……というのはありがちなことかもしれませんが、これでは質の高い睡眠にはなりません。就寝と夕食の時間はなるべく離す、難しい場合は消化に時間のかかるものは避けるということが大切です。低脂肪のものがおすすめで、おかゆやスープ、ゼリーなどがよいでしょう。

 アルコールも睡眠の質を下げるとされています。「お酒を飲むと眠れる」と感じている方がいるかもしれませんが、一杯飲んで寝るのは睡眠の質を考えると間違いです。

 たしかに入眠を促すかもしれませんが、睡眠の直前にアルコールを体に入れると、睡眠が浅い状態が続いてしまう場合があります。お酒を飲み過ぎた日に、夜中に目が覚めてしまうことがあるのはそのせいです。お酒を飲んでから寝る習慣を止めたらぐっすり眠れるようになったという方も多いので、眠りが浅いことに悩んでいるのであれば、寝る前のアルコールを控えるようにしてみてください。

(まとめ:神津文人)

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定ヘルスフィットネススペシャリスト
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん 卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「なぜいくら腹筋をしても腹が凹まないのか」(幻冬舎新書)など多数。
日経トレンディネット2015年10月14日付け記事からの転載です。
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