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中野ジェームズ修一が熱血指導! 『ぽっこりお腹解消メカニズム』

「体幹トレーニング」では“ぽっこりお腹”は凹まない!?

脂肪燃焼に必要な「有酸素運動」、筋肉量を増やす「筋トレ」にも当てはまらない!

 中野ジェームズ修一

「腹筋でお腹は凹むの?」「バランスボール、断食、サウナはダイエットに効くの?」……メタボが気になる中年男性の“ぽっこりお腹”を解消すべく、卓球の 福原愛選手など日本を代表するトップアスリートの指導も行うパーソナルトレーナーの第一人者、中野ジェームズ修一氏が熱血指導する!

 多くのトップアスリートが取り入れ、関連書籍も多く出ていることから少し前からブームになっている「体幹トレーニング」。日々のトレーニングに取り入れるのはとても良いことで、多くのメリットがあります。腰痛や肩こりの予防、そして転倒予防にもつながります。

 しかしトレーニングやエクササイズの目的が「お腹を凹ますこと」である場合、体幹トレーニングの優先順位が低くなることは事実です。体幹トレーニングをしたからといって、アスリートのようなムダのない引き締まったお腹になるわけではないのです。

筋トレのトレンドである「体幹」を鍛えても、メタボ腹をへこせる目的にはあまり有効ではない。(©Kitti Bowornphatnon/123RF.com)
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 このコラムで何度か書いているように、お腹を凹ますには消費カロリーを上げることと、摂取カロリーをコントロールすることが重要。そのためには全身の筋肉量を増やすこと、そしてバランスの良い食事をすることが大切です。

 お腹を凹ますには有酸素運動と筋肉量を増やすトレーニングの組み合わせが有効なのですが、体幹トレーニングはそのどちらにも当てはまりません。有酸素運動ならランニング、筋肉量を増やすにはスクワットなど下半身の大きな筋肉を使うトレーニングが有効なのです。

 ということを書くと、「私のパーソナルトレーナーはダイエット目的でも体幹トレーニングをやらせますよ」「通っているジムで体幹トレーニングをすすめられました」という方もいらっしゃると思います。最初に書いたように、体幹トレーニングにはさまざまなメリットがあります。体のバランスや歪みを整えることでケガを予防できるので、専門家ならダイエットのプログラムの中にいくつか体幹トレーニングを取り入れることもあるでしょう。お腹を凹ますことに直接は関係なくても、運動を続けるためにはやっておいたほうが良いからです。

 私が伝えたいのは、体幹トレーニングだけではお腹が凹まないということです。何事でもそうですが、効果が実感できないとモチベーションを維持するのはとても難しい。せっかくダイエットや健康のために運動を始めても、体重や健康診断の数値、あるいは見た目にその効果が少しでも出てこないと、意味がないと思って止めてしまう方が多いのです。

 ダイエットのために体幹トレーニングを始めて、やせないから運動自体を止めてしまう。これは本当にもったいないこと。その運動の意味や効果を知っていれば、自分の目的にあった運動を楽しみながらできるのです。

 ここからは、改めて体幹トレーニングとはどんなもので、どのような効果があるのかを確認してみましょう。

アスリートが体幹トレーニングを重視する理由

 体幹トレーニングという言葉で使われる「体幹」は、一般的には“コアユニット”の部分を指すことが多いかと思います。人間の体は心臓や肺などの臓器を守るために肋骨がありますが、お腹のあたりには肋骨がなく、腰椎という骨しかありません(肋骨がないから体を前屈させたり後ろに反らしたりという動作ができるのです)。お腹周りは肋骨の代わりに横隔膜、骨盤底筋群、多裂筋、腹横筋などが体を安定させているのですが、これらの総称がコアユニットです。

 人間はジャンプをするとき、真っすぐ飛んで真っすぐ着地できるわけではありません。前後左右に多少のブレが生じます。このときに、コアユニットが安定していないと、バランスを崩して転倒してしまいます。転倒しなかったとしても、バランスを崩すとケガにつながるのです。スポーツをしているときに足首をねん挫したりするとその部位に問題があると思うかもしれませんが、実はその原因はコアユニットにあることも多いのです。

 コアユニットが安定していると、多少無理な体勢でプレーをしても体のバランスをキープできます。トップレベルのサッカー選手が、一見倒れそうな状態に見えるのにしっかりと強いシュートが打てるのはコアユニットが安定しているからです。コアユニットが弱いと、少し無理な体勢になると簡単にバランスが崩れてしまいます。プロの世界では無理な体勢でもプレーできるかどうかが大きな差を生むので、アスリートにとって体幹トレーニングはとても重要なのです。

 さらに我々トレーナーはこのコアユニットだけでなく、全身のジョイント部分を鍛えることも体幹トレーニングと呼んでいます。膝、股関節、肩、肩甲骨、骨盤、背骨などの周辺にあるスタビリティマッスル(間接を安定させる筋肉)などを鍛えることも体幹トレーニングなのです。

 テニスを例にすると、コアユニットが安定していても、肩や肩甲骨などのジョイント部分も同様に安定していないと、ラケットを振る動作が安定しません。体幹トレーニングを効果的なものにするためには、どこのスタビリティマッスルが弱く、どこを強化する必要があるのかを把握する必要があるということです。

 全体的に弱い人もいれば、一部のバランスが悪い人もいます。自分が鍛えるべきポイントが分からずに、なんとなく体幹トレーニングと呼ばれるものをやってみてもなかなか効果は得られません。本当に体幹トレーニングを行ってパフォーマンスをアップしたい場合は、一度ジムなどでトレーナーの方に相談してみることをおすすめします。

誰でも簡単にできる体幹トレーニングとは?

 誰でも簡単に取り入れることができ、ぜひやっていただきたい体幹トレーニングは、「バランスボール」を使ったエクササイズです。

バランスボールに座るだけで、骨盤や背骨の周りにある筋肉が鍛えられる。(©Shannon Fagan/123RF.com)
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人間はバランスが崩れたとき、小脳が働いてバランスを保とうとします。ということはデスクワークが中心で移動は車や電車で座っている生活をしていると、体のバランス能力が低下してしまうのです。

 バランスボールの上に座ると、小脳がバランスを保とうとするため、酸素と栄養素が血液によって脳に運ばれ、その働きを活性化します。これだけでも十分なメリットといえるのですが、これに加えてスタビリティマッスルの強化が可能です。不慣れな人が意識的に動かすことが難しい骨盤も、バランスボールの上に座れば簡単に動かすことができ、骨盤や背骨まわりのスタビリティマッスルを鍛えられます。

 バランスボールをイス代わりにし、テレビを観る、デスクワークをする、食事をする。これだけでバランス能力が養え、体幹トレーニングの一つになるのです。体幹トレーニングのために特別に時間を割く必要がないので、これなら多忙な方でもランニングやウォーキングと両立できるのではないでしょうか。

中野ジェームズ修一
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定ヘルスフィットネススペシャリスト
中野ジェームズ修一 卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「なぜいくら腹筋をしても腹が凹まないのか」(幻冬舎新書)など多数。
日経トレンディネット2014年08月07日付け記事からの転載です。
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