日経グッデイ

中野ジェームズ修一が熱血指導! 『ぽっこりお腹解消メカニズム』

40代以上が危ない! 8割が20年後に要介護!?【中野ジェームズ修一】

片脚立ちで靴下を履けないなら要注意

 中野ジェームズ修一

「腹筋でお腹は凹むの?」「バランスボール、断食、サウナはダイエットに効くの?」……メタボが気になる中年男性の“ぽっこりお腹”を解消すべく、卓球の福原愛選手など日本を代表するトップアスリートの個人指導を行うパーソナルトレーナーの第一人者、中野ジェームズ修一氏が熱血指導する!

40歳以上の男女の5人に4人が将来に要介護となる“ロコモ予備軍”。(©kazoka30-123RF)

 みなさん、「ロコモ」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

 ロコモとはロコモティブシンドローム(運動器症候群)の略称で、「現在は自立できているが、近い将来、要介護になる危険性が高い症状を持っている状態、すでに要介護になってしまっている状態」を表します。

 厚生労働省が2003年から国民の健康づくり運動「健康日本21」という施策を行っているのですが、その第1次計画(~2013年2月)で目指していた目標のひとつがメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の認知向上でした。

 さまざまなキャンペーンが功を奏し、スタート時には2割程度だった認知度は最終的に9割まで上昇したそうです。もうみなさんメタボはご存じでしょうし、日々対策されている方も多いと思います。そして現在、健康日本21の第2次計画で認知度向上を図っているのがロコモなのです。

 「近い将来要介護になりますよ」といわれてもピンと来ない方が多いでしょう。実は40歳以上の男女の5人に4人がロコモ予備軍だといわれています。現在の40代が今のままの生活を続けると、約20年後、60歳になるころには筋肉や骨、関節など体を動かすための運動器が衰え、自立した生活が難しくなるということです。

ロコモ対策としての運動で心がけたいこと
ランニングやウォーキング、スクワットなどが効果的
習慣化して長く続けられるよう、スポーツクラブに通う
学生時代にやっていたスポーツを再開する
登山やゴルフだってもちろんOK
会社でランニングやトライアスロン、フットサルなどのチームを作る
「4階まで」は階段を使う

今の40代には“貯筋”がない!

 それでも、遠い先のことだと思ったり、5人中4人はオーバーな予測ではと思ったりする方もいるでしょう。事実、現在の60代の人たちは5人中4人も要介護になってはいません。

 しかし、現在60代の人たちと40代の人たちを比べてみると、成人になってから60代になるまでの約40年間の世の中の便利さが全く違います。現在は電車やバスなどの交通機関がかなり充実していますし、エレベーターやエスカレーターは至るところに設置されています。クルマに乗られている方も多いでしょう。都市部で生活していると、歩くことや階段を上ることを避けようと思えば、いくらでもできてしまいます。世の中が便利になったことで、現在の40代は60代に比べて、筋肉つまり“貯筋”がない状態なのです。

 そして、これからの20年はさらに便利になっていくことが予測されます。自動運転カーが導入されればアクセルすら踏まなくなりますし、近い将来はパソコンのキーボードだって叩かなくなっているかもしれません。家事もロボット任せにできてしまいます。世の中が便利になるというのは良いことではありますが、頼り過ぎるとロコモになる可能性が非常に高くなってしまうのです。

 厚生労働省の発表によると、2014年の日本人の平均寿命は男性が80.50歳、女性が86.83歳です。医療の発達を考慮すると、この数字はまだ延びていくでしょう。現在40歳の男性が90歳まで生きるとして、60歳で要介護となった場合、そこから30年生きることになります。

 さらにロコモによって運動ができなくなってしまうと、メタボや認知症を併発する可能性も高まります。ロコモはなかなか深刻な問題なのです。

名トレーナーがすすめるロコモ対策とは?

 ロコモ対策として最も有効なのは、やはり運動をすることです。ランニングやウォーキング、スクワットなどが効果的ではありますが、長く続けられないかもしれません。

 ロコモ対策は1カ月やればOKというものではないので、できることなら習慣化して長く続けられるような運動を見つけるのがベスト。それはスポーツクラブに通うことかもしれませんし、学生時代にやっていたスポーツを再開することかもしれません。登山ゴルフだってもちろんOKです。会社でランニングやトライアスロン、フットサルなどのチームを作るといったことでもいいでしょう。自分が興味のあるスポーツを見つけ、それを続ける環境さえできれば、自ずとロコモ対策になるのです。

 また、日ごろからできる手軽なロコモ対策として最もおすすめなのが、「階段」です。

 これはいろいろなところで言い続けていますが、意識して階段を使うようにするだけで下半身の筋肉量はかなりアップします。駅では必ず階段を使う、オフィス内の移動をエレベーターではなく階段にする、信号が変わるのを待たずに歩道橋を渡る。これだけで筋肉量は確実に増えます。

 「階段を使うと疲れてしまう」なんていう人もいますが、人間はそんなにヤワではありません。みなさんの体にはたっぷりとエネルギーがありますし、階段を使ったくらいでそれが枯渇するなんてことはありません。脱ロコモ予備軍のためにも、明日から地下鉄のエスカレーターの行列に並ぶのはやめましょう!

 「階段を使いましょう」という話をすると、「何階まで階段を使えばいいですか」とよく聞かれます。本当はできるだけたくさん使ってほしいのですが、1つの基準として「4階まで」は階段を使ってほしいと思います。初めのうちは少しキツイかもしれませんが、それは体力や脚の筋力が低下しているからで、慣れてくれば全くつらくないはずです。

 筋力、バランス能力の低下を簡単にチェックする方法を紹介します。

 まずは、片脚立ちの状態で靴下を履けるかどうか。左右両方で確認してみてください。もうひとつは、手を使わずに片脚で椅子から立ち上がることができるかどうかです。これも左右の脚で試してみてください。2つの方法とも両脚バランスを崩さずに、余裕でできれば合格です。ロコモ予備軍にならないよう、維持していきましょう。

 このチェック方法はそのままトレーニングにもなります。仕事中に椅子から立ち上がるときは片脚で立つようにする、靴下を履くときは片脚立ちで履く――。これだけで筋力とバランス能力が鍛えられます。

(まとめ:神津文人)

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定ヘルスフィットネススペシャリスト
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん 卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「なぜいくら腹筋をしても腹が凹まないのか」(幻冬舎新書)など多数。
日経トレンディネット2015年9月9日付け記事からの転載です。