極論すれば、自分が最も走りやすいと思う位置で着地すればいいと思いますし、あまり「つま先、真ん中、かかとのどこで着地するか」ということに意識をとられすぎないようにしたほうがいいのではないかと思います。なぜなら、着地の仕方は、ランナーのフォームや体格、筋量だけでなく、上りや下り、平坦、トラック、ロード、トレイルといった地面の状態によっても異なるからです。
何よりも、安易なフォームの変更は、ケガのリスクを上げます。特に危険なのは、初心者ランナーがランニングドラマや有名ランナーのインタビューを見て感化され、十分な知識も筋肉もない状態で、新しい走法にチャレンジすることです。特に、寒さで全身の動きが硬くなりがちな冬に走法を変えるのは、ケガをするリスクが高まり、あまりお勧めできません。
ドラマを見て、裸足感覚の薄くて軽いソールのマラソンシューズに心惹かれた方もいると思いますが、薄くて軽いソールのシューズで長い距離をトレーニングできるのは、上級者に限られます。人気選手が履いているモデルのシューズを買って履いたり、テレビや雑誌で見た「フォアフット走法」に自己流でチャレンジしたりして、思わぬケガをしてしまう市民ランナーの方も時折見かけます。ランナー一人ひとり、走り方も、骨格も、筋肉のつき方も、スピードも、そして走る目的や目標も違います。「この有名選手が推奨していた走法だから」「箱根駅伝で活躍した選手が履いていたシューズだから」などと、安易にまねしないようにしていただきたいなと思います。
冬は室内トレーニングも大切に
着地をどうするかを考えるよりも、この冬のトレーニングをどうするかに意識を向けてみましょう。私が実業団選手だったときは、走り込みは冬ではなく、夏の合宿で行っていました。冬は駅伝などのシーズンなので、夏に鍛えた土台を使ってスピードや技術を磨いていくというイメージです。
では秋に大会シーズンを終えた市民ランナーは、冬のトレーニングをどうすればいいでしょうか。
まず、ケガをしやすい寒いこの時期は、室内でできる練習もメニューに加えましょう。筋トレや腹筋・背筋などの補強はお勧めです。体を安定させる体幹や、腕振りに重要な腕まわりを鍛える補強トレーニングは大事です。大きな負荷をかけてウエイトトレーニングをガンガン行うというよりは、自分が上げられる最大重量の7~8割の重りのベンチプレスやスクワットなどを、10回×3セットほど行うといったイメージでしょうか。
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