まさかの五輪メダリスト3人が駅伝のチームメンバーに!

応援する側だけでなく、2021年は私が実際に走った大会もありました。アシックスが11月11日~22日に開催した、専用アプリを利用したバーチャル駅伝レース「ASICS World Ekiden 2021」です。このバーチャル駅伝レースは、学校や職場の仲間、友人、家族など自由なメンバーで結成したチームで、場所や時間を問わず誰でも参加できるものです。1チーム6人まで出場可能で、42.195キロを6区間に分割し、駅伝形式でそれぞれが走り、アプリ上で合計タイムを競い合います。
大会自体は終了しましたが、1位はケニアのチームで、そのほかアメリカ、ドイツ、オランダ、シンガポール、サウジアラビアなど、世界各国から6000以上のチームが参加した、新しい形の大会でした。
マラソンや駅伝の醍醐味は、年齢や性別、国籍、ハンディキャップの有無などを問わず、誰でも同じスタートラインに立って参加できることです。それをオンラインで開催することで、時間や場所の違いも超えて、今までつながれなかった多様な人々が簡単につながることができます。こうしたオンラインイベントは、今後もリアルな大会と両軸で継続できれば面白いなと思いました。
また、日本特有の競技である駅伝は、チームで競い合う競技なので、メンバーが力を合わせることでマラソンとは違った喜びや高揚感を味わえます。外国の方にとっては新鮮であり、駅伝の魅力を楽しんでいただけたのではないでしょうか。
前置きが長くなりましたが、そんな楽しいイベントに、私もスペシャルチームの一員として参加しました。メンバーは、シドニー五輪(2000年)マラソン女子金メダリストの高橋尚子さんと、アテネ五輪(2004年)マラソン女子金メダリストの野口みずきさん、そして私の3人です。女子マラソンの五輪メダリストがタスキをつなげて走ることになるとは思いもよりませんでしたし、通常ありえないことです(笑)。
400メートルの陸上競技トラックを使い、それぞれが5~10キロを2回ずつ走ってタスキをつなげたのですが、走り終わった率直な感想は…5キロの完走はきつかったです(笑)。それでも、普段はまったく走らず、こまめに階段を使うなど、日常生活の中で体を動かすことくらいしかしていない割には、よくあれだけ走れたなと自分で自分をほめています。
高橋さんは普段から毎日2時間ほど走っているそうですが、当日は足を少し痛めていたそうです。それでもあれだけしっかり走っていたのはさすがだなと思いました。野口さんも腰に少し痛みがあると話していましたが、元気に完走して、とても楽しそうでした。
私は、普段走っていない分、2人と比べてフォームがペタペタと足が地を這うような上下動の少ない走り方になってしまいましたが、少しお腹に力を入れるように意識すると、最後まで動きが大きく崩れることなく完走できたように思います。大事な部分を意識しながら走ることは大事なんだなと再確認できました。

当日はたくさんのメディアが取材に来ていて驚きましたが、それぞれの時代に五輪を戦い抜いたメンバーと共に走れて、本当に楽しい時間でした。ちなみに私たちのチームの順位は605位。高橋さんが「10年後もこのメンバーで走りたい」と言ってくれましたが、そのころ私は65歳…走ることはちょっとないかもしれません(笑)。
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