普段の生活は徹底的に「階段利用」、そして「歩く」
以上、皆さんのお手本には決してならない、驚かれるほど簡単なマラソンの準備方法でしたが、現役から退いて9年、直前のスクワットや階段練習ぐらいで、これぐらいのスピードで完走できるのは、日々の生活の過ごし方も大きく関係しているように思います。
引退後も体重はさほど増えていませんし、姿勢にも気をつけています。時間があれば地下鉄数駅分は気軽に歩きますし、キャリーケースのような大きな荷物を持っていても、エスカレーターではなく、必ず階段を使います。ホテルで係の方に大きな荷物を持ってもらうことも、基本的には遠慮しています。トレーニングのチャンスを奪われたくない、と思ってしまうのです(笑)。それが自分にとってごく当たり前の習慣なので、特に声高に言うことはないのですが、こうした日々の習慣の積み重ねが、実は基礎体力を落とさないトレーニングになっているのではないかと思います。
マラソンのトレーニングは、考え方次第で、さまざまな形があり得ます。次号はその辺りについての私の考えをお話しできればと思っています。
では、ランナーの皆さま、今年もこの連載を読んでくださってありがとうございました。少し早いですが、よいお年をお迎えください。
(まとめ:高島三幸=ライター)
元マラソンランナー

1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。