海外出張からの現地入り、2日前のジョグで不安に…
さて、昨年の第1回大会は、私自身、現役を引退後8年ぶりにフルマラソンを走り、地元が一丸となって大会を成功させた達成感も相まって、ゴールでは感動の涙を流しました(「有森裕子 引退後初レースで流した、現役時代とは違う涙」)。今年は、ちょっとした緊張感を持っての参加でした。
というのも、大会前の約10日間は出張続きで、スイスでのIOC(国際オリンピック委員会)の会議を終えて、その足で岡山のホテルに入るという、ハードスケジュールだったからです。あまり体を動かせておらず、大会の2日前に30分ほどジョギングしたら、想像以上に疲れてしまって…。30分のジョギングがこれほど長いと感じるのに、フルマラソンなんて本当に完走できるのだろうかと、少し不安になったほどでした。
用意していたシューズの底のクッションが思いのほか柔らかくて、足が沈む感覚が気になってしまい、急きょ地元のスポーツセンターに買いに行ったりもしました。相変わらず皆さんのお手本にはならないほどバタバタしながら、本番当日を迎えました(苦笑)。

ところが…いざ蓋を開けてみると、昨年から約25分もタイムを縮め、4時間21分58秒でゴールすることができたんです。前回は20km付近で脚がつりましたが、今年はそうしたトラブルもありませんでした。
タイムを25分も縮めた秘訣は「スクワット」?
マラソン関係のイベントを除き、普段はまったく走っていない私が、今年はどんな練習をしたのか、気になる読者の方もいらっしゃるかもしれません。が、昨年同様、大きな声で言えるほどのことはしていません。大会の1カ月ほど前から自宅マンションの階段の十数階分を上り下りして、数日ですがスクワットを加えました。家の中でマットの上に立って重りを持たずに、膝の角度が45度ほどに曲がるぐらい腰を落とすクウォータースクワットを100回行います。この時に気をつけるのは、背中を丸めず、膝を曲げる方向とやや開いた足先の方向が同じであること。その後に階段の上り下りを行うと、足腰の筋肉をかなり使っている感覚がありました。
100回スクワットをした初日はさすがに筋肉痛になり、「ああ、普段、こんなに筋肉を使っていないんだな」と現実を付きつけられる思いでしたが、3日連続して行うとかなり楽になりました。
スクワットを実践したことで、明らかに昨年と違ったのは、足腰、膝周り、股、臀部の筋肉のどこにどう力を加えればいいのか、そして、体の重心に腰と膝をどう乗せれば走りやすいかということが感覚的に分かったことでした。
特に膝周りと腰回りの筋肉の強化は改めて大事だと思いました。それらの筋肉が弱いと、距離を踏んで疲労がたまるにつれ、足腰全体ではなく、膝から下だけを使って地面を蹴ってしまいます。するとケガをしやすくなる。走り終えた時にふくらはぎや足首が痛くなる人、足がつってしまう人は、こうした傾向が強いので要注意です。
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