「残り1枠」私が注目している選手は…
MGCファイナルチャレンジで私が注目しているのは、MGCで5位だった野上恵子選手(十八銀行)です。彼女は6月に左すねを故障してしまい、納得のいくペースでの練習は積めていなかったと記者会見で話していました。でも、MGCでは40km以降はどの選手よりもラップタイムが速かったですし、「たられば」の話になるものの、左すねの故障さえなかったら、スピードがある選手で暑さに対する耐性にも定評があるので、上位争いに絡むことができたように思います。
MGC6位の一山麻緒選手(ワコール)や4位の松田瑞生選手(ダイハツ)も、残り1枠を狙える実力は十分に持っていると思います。
どんな試合展開になったとしても、自分の判断に迷わず走り切る力を持つためには、試合はもちろん、日々のトレーニングの中でも常に自分の頭で考えて判断し、成功するという経験の積み重ねが必要になります。五輪代表に決まった選手も、これから代表をつかみに行く選手も、そうした経験を本番までの残りの時間でさらに積んでいってほしいと思います。
2020年東京五輪 マラソン日本代表の選考方法(男女共通)
1.
MGCの上位2人を選出
2.
MGC終了後に行われるMGCファイナルチャレンジ(男子は福岡国際マラソン、東京マラソン、びわ湖毎日マラソンの3レース、女子はさいたま国際マラソン、大阪国際女子マラソン、名古屋ウィメンズマラソンの3レース)で設定記録(男子:2時間05分49秒、女子:2時間22分22秒)を上回った選手のうち最速の1人を選出
3.
2の該当者がいない場合は、MGCで3位となった選手を選出
※2019年12月10日現在、福岡国際マラソン(12月1日)とさいたま国際マラソン(12月8日)が終了。設定記録を突破した選手はいなかった。
※MGC3位は、男子は大迫傑選手(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)、女子は小原怜選手(天満屋)。
(まとめ:高島三幸=ライター)
元マラソンランナー(五輪メダリスト)

1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。公式Instagramアカウントはこちら。
