マラソン大会は関わる人が全員主役
レース翌日、私はお世話になった県警や協賛企業にお礼を伝える機会をいただきました。するとある企業の社長さんがこんなことをおっしゃってくださいました。
「マラソンには勝ち負けがない。完走した人がすべてが勝者なんですね。感動しました」
さらに言えば、マラソン大会は、関わる人全ての人が主役になれると思います。常にランナーの立場になる必要はなくて、抽選で外れたときはボランティアに回って参加すれば、大会運営の大変さややりがい、ランナーとはまた違った感動が味わえます。支える側、支えられる側の両方を経験することで、大会に出場することがさらに面白くなると思うのです。
時々、運営側の不手際に文句を言っている市民ランナーも見かけます。参加費や交通費を払って参加している以上、お客様気分になるのも分かります。そんな方は、一度、大会を支える側として参加してみると、今まで見えていなかったマラソン大会開催の苦労やありがたみが分かるかもしれません。
8年ぶりに手にしたメダル
ちなみに、フルマラソンを完走した私は、久々にメダルをもらいました。完走者全員がもらえるメダルですが、これは私がアイデアを出したもので、備前焼の特製メダルです。紐は真田紐。いずれも岡山の郷土品です。若い陶芸作家さんが総出で1万3000個以上のメダルを焼いてくださいました。どうですか。素敵でしょう?
参加者の約9割が完走し、約2500人の方が3時間台で走ったというレベルの高い大会となりました。高低差があるのでそこまでタイムは期待していなかったのですが、想像以上に高速コースと言えるのかもしれません。
秋の深まる岡山の街のロケーションは素晴らしいですし、きびだんごなど岡山のおいしいものもたっぷり味わえます。次回、2016年の開催は11月13日の予定です(2016年3月に正式決定)。ぜひ、「晴れの国おかやま」に走りに来てください!
(まとめ:高島三幸=ライター)
元マラソンランナー

1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。