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有森裕子の「Coolランニング」

有森裕子 女子駅伝「四つんばい」は美談ではない

選手を守るルールの見直しを

 有森裕子=元マラソンランナー

今はないですが、九州山口各県のチームが10日間で72区間を競う九州一周駅伝という大会がありました。1チーム24人、1選手最高4回まで出走できます。大会の最初のルールは走者が走れなくなった場合、監督車が次の走者を迎えに行き、走れなくなった場所まで引き返して、たすきリレーするというものでした。

後にそれを監督と大会審判長の判断で選手をストップさせることができるルールに変更しました。そして「棄権した区間は区間最下位の記録に5分プラスしてレースは成立させる」としました。これが選手を守る最善のように思います。距離の短い女子駅伝なら、2分プラス程度でよいのではないでしょうか。

(2018年10月22日、宗茂さんのTwitter @shigeru_so より)

 この提案には、私もなるほどな、と思いました。駅伝では、選手や観客だけでなく、指導者も大会運営側も白熱しますから、こうしたルールを設けることでアクシデントに冷静に対処でき、選手の体調やチーム全体への影響を最小限に抑えられるように思います。

「四つんばい」よりも危ないアクシデントが起きていた

 3つ目のポイントは、そもそも問題視するポイントがずれているのではないか、ということです。今回、メディアで盛んに取り上げられたのは、四つんばいになってタスキをつないだ選手の行動でしたが、実は、メディアがもっと注目し、問題視すべきアクシデントが起きていました。

 そのアクシデントとは、3区(10.7km)で先頭を走っていた三井住友海上の岡本春美選手が、脱水症状のためコースを蛇行したり逆走したりしてしまったことです。これは、「四つんばい」よりもはるかに危ない状態です。このような場合、早めにきちんとサポートしないと、転倒して頭を打つなど、命に関わる大きな事故にもつながりかねません。メディアには、こちらのアクシデントに大いに注目していただき、アスリートの命を守るための方法をさまざまな切り口から提示していただければと思います。

 駅伝ではこれから、実業団駅伝や箱根駅伝といった、大きな大会が控えています。小学生や中学生、高校生たちが走る地元の駅伝大会もあるでしょう。ランナーの命を守り、大きな事故を防ぐために、今回のアクシデントを教訓にして、現場の指導者や運営責任者の方々が、選手のためのルールを今一度見直していただくよう願っています。

(まとめ:高島三幸=ライター)

有森裕子(ありもり ゆうこ)さん
元マラソンランナー
有森裕子(ありもり ゆうこ)さん

1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

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