アプリ1つでマラソン好きがつながる運動イベント
そんななか、私が理事長を務めるスペシャルオリンピックス日本(*1)では、昨年2000人以上の方々にご参加いただき大盛況だった「スペシャルオリンピックス日本オンラインマラソン2021」(詳しくはこちら)を、今年も開催しています。

昨年のオンラインマラソンでは、参加者全員が走った距離を合計して、日本一周という目標距離を達成し、さらに世界へと距離を伸ばしました。今年のオンラインマラソンは、参加者全員でスペシャルオリンピックスの活動が行われている「201の国と地域」を回る企画で、期間は約2カ月間の11月30日までを予定しています。
「らんすけ」というアプリを使って走行距離を提出してもらい、個人やチーム別のランキングもウェブサイトに表示されます。みんなで走る目標走行距離は、昨年よりも長い約18万9723km(世界一周)になり、チーム参加(1チーム2~10 名)や個人参加、車いすでの参加でもOK。もちろん、知的障害のある方々だけでなく、誰でも参加できます。
10月2日にはオンライン開会式として、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんを特別ゲストに招き、Zoomでトークショーを開催。「ではみなさん、今日からスタートしてください!」という掛け声で、多様な方々が世界中のあらゆる場所で、ランニングやウォーキングを開始しました。
期間中には、運動アプリの「ライブラン」を活用したユニファイドライブランイベントを3回ほど実施します。ユニファイドライブランイベントとは、皆さんがランニングしたりウォーキングしたりしているところを、私たちが生実況するもの。事前に参加者にライブランの専用アプリにご登録いただき、当日にアプリを開いていただくと、司会者や私、ゲストの方の声が聞こえてきます(詳しくは過去記事参照)。
私たちは画面に出てくる参加者の皆さんのニックネームや走っている場所、走行距離を見ながら、「〇〇さん、今トップですね!」「1キロ3分10秒といういいペースです」といった実況をしながら、声援を送ります。参加者の数が多いので、全員に声をかけることは難しかったのですが、私も現地でハイタッチをしながら応援している気持ちになり、時間は40分ほどでしたが、ランナーのみなさんとつながって一緒に大会に参加しているライブ感を味わうことができました。参加者の皆さんにもライブ感覚を楽しんでもらえたのではないかなと思います。
次は11月18日に開催予定ですので、1人では続けられないという人や、ライブランを体験してみたい人は、ぜひ一度参加してみてください。
リアルとオンラインのフル活用で運動を習慣化
スポーツ庁は先日、「Team Sport in Life」を結成するという面白い試みをしていました。タレントの武井壮さんや陸上女子100メートルハードルの寺田明日香選手、サッカー日本代表の長友佑都選手、プロスケーターの村上佳菜子さん、お笑いタレントのゆりやんレトリィバァさんなどがアンバサダーに就任し、『ひとつのチームで、スポーツをもっと生活の中へ!目指せ、週イチ 、1000万人運動!』というコンセプトを掲げて、9月15日から10月31日まで、SNSを利用した国民にスポーツを促すイベントを開催しました。
このイベントはランニングに限らず、さまざまなスポーツを対象にしたものですが、こうしたオンラインイベントやSNSの力を借りて、ランニングやスポーツを続けるモチベーションを高め、習慣化していくよう働きかけていくことが、これからのスポーツイベントのスタンダードになるようにも思います。
(まとめ:高島三幸=ライター)
元マラソンランナー(五輪メダリスト)

1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。公式Instagramアカウントはこちら。