実際に走るときも、手足に力を入れずに比較的リラックスした状態で、体幹でしっかりと体を支えるようなフォームが理想です。このフォーム作りにも、プランクで得られた感覚は役立ちます。走る前にプランクをして、筋トレで得た感覚を走りにつなげるといいと思います。
もし可能なら、プランクをした後に階段の上り下りもすると、腹筋を意識しながらもも上げやひざ上げをするトレーニングにもなります。その後に、軽いランニングやウォーキングを組み合わせるとベストでしょう。各部位の連動性を高めることはとても大切です。こうした段階を踏みながらランニングに移行することで、運動不足による足の痛みや骨折を引き起こすリスクを下げられるはずです。
「シットアップ」や「クランチ」といった、上半身を起こす腹筋運動に比べ、プランクはとてもシンプルな動きで、筋力が少ない人でも取り組みやすく、腰を痛めることも少ないエクササイズです。腹筋を鍛えるだけでなく、私自身は、自分の体に歪みがあることを知っているので、体の軸のラインをまっすぐ整えて、体に覚えさせる時間にもなっています。いますぐできる簡単なエクササイズなので、ぜひ試してみてください。
ただでさえネガティブになりがちな時期が続いているのに、ここでケガをしたら、コロナをさらに恨む事態に陥ってしまいます。今は参加できるレースも少なく、急いでトレーニングする必要はないとも思います。せっかくのランニングにふさわしい季節です。段階を踏みながらケガを防いで、走りを楽しみましょう。
(まとめ:高島三幸=ライター)
元マラソンランナー(五輪メダリスト)

1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。公式Instagramアカウントはこちら。